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[日記2007年05月28日(月)に思った社会のこと

教わること:後編

教わること:後編

先生がヘタレだったので、私は物理がきらいになった

5年後、私は後輩Jと深夜の公園で話す機会があった。
※当時は金がなかったので、飲みに行けなかった。
後輩Jは大学で自然科学を専攻していたので、私は「万有引力への疑問」を投げかけてみた。

「え? ちょ、ちょっと待ってください」

Jは地面に枝で数式を書きはじめた。
私が高校時代に拒絶した方程式だ。あれこれ数値を入れて、式を増やして、ようやく答えが出た。

「んー、やっぱり同時に落ちますね」

ヘタレ先生と同じ解答に、私は苛立った。
「なんで? どうしてさ? おかしいじゃない!
 その方程式が正しいって、どうしてわかるんだよ!」

子どもっぽい私の問いかけに、Jは悩んだ。
「うーん、うーん、うーん……。
 赤はなぜ赤いのかって、訊かれても~。
 うまく説明できないけど、証明はできます。
 でも、物理の素養がないと理解してもらえるかどうか。簡単な方程式にたどり着くのが、物理ではもっとも難しいですから……」

つまり、こういうことだ。
最初の方程式を拒絶した私は、その先を知ることもなく、結果として、最初の方程式も解けなかったわけだ。

聞けば、Jも高校時代は理解できなかったという。
しかしひとまず記憶して、先に進んだ。それが私とJの違いだった。

「あるいは……」と、Jは言った。

「あるいは、ヒラ先輩が物理学を学んでいたら、ぼくより上手に説明できたかもしれません……」

私は、私の先生になり損ねた。

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