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[日記2008年02月12日(火)に思った経済のこと

黄金の鎖

黄金の鎖

 とある旅人の話をしよう。

 その旅人は生まれながらに自由だった。どこへでも行けるし、なんにでもなれた。ところが旅人は、自分で自分を鎖につないでしまった。旅人は規則正しい暮らしをはじめ、自分の畑をせっせと耕した。気まぐれに休んだり、釣りに行くこともない。まるで別人だ。

 奇妙に思った私は、訊ねてみた。
「ねぇ、そんな鎖は捨てて、また旅に出ようよ」
 旅人は答えた。
「これは鎖じゃないよ。ぼくの大切な黄金だ。ほら、大きくて、ずっしり重たいだろう? すっごく価値があるんだぜ」
「ただの鉄だよ!」
「きみには価値がわからないのかい? コドモだねぇ。早く大切なものを見つけて、オトナになりなよ」
 私は怖くなって逃げ出した。

 友人N氏は風来坊だった。ひとつの職場に長居せず、ふらふら流れながら暮らしていた。そんなN氏が突然結婚して、子どもが生まれ、持ち家を購入してから数年が経つ。N氏はすっかり別人になって、まじめにサラリーマン的生活を送っている。さぞや窮屈だろうと思ったが、むしろ今の方が「働きがいがある」と言う。家族のためならどんな我慢もできるらしい。信じられない。別人になってしまった。

 私は結婚しているが、子どもも持ち家(ローン)もない。
 自分を束縛する鎖はまったくない。
 私は自由だ。自由、バンザーイ!

 だがしかし……と思う夜もある。
 黄金の鎖があれば、シアワセになれるのだろうか?

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