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[日記2008年09月14日(日)に思った哲学のこと

ヘラクレイトスの川

ヘラクレイトスの川

 私は同じ場所に2度行くことを好まない。

 料理にたとえるなら、同じ料理を2度注文しない。おいしい料理は好きだが、おいしいとわかっている料理より、おいしいかどうかわからない料理を試した方がいい。もっとおいしい料理に巡り会えるかもしれないし、まずさがおいしさを引き立てることもある。人生は短いのだから、いろんな経験をしたい

 確かめるために再訪することはある。数年前に感動した料理をもう一度食べて、やはりおいしかったと確認することもあれば、料理や、もしくは自分の嗜好が変わって、異なる発見をすることもある。
 してみると、同じ料理を2度食べることはできないのではないか? 少なくとも自分が変化しているかぎり、1度目は1度目の感動があり、2度目は2度目の発見があり、100度目は100度目の哲学があるはずだ。

 ギリシャの哲学者ヘラクレイトスは言った。

人々が同じ川に入ったとしても、常に違う水が流れている。

 あるいは水が同じでも、自分自身は変わっている。ゆえに、同じ川に2度入ることはできない。これを「ヘラクレイトスの川」という。「テセウスの船」に通底する命題だ。
 日本にも同じ哲学はある。

行く川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。
よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しく止とゞまる事なし。
世の中にある人と住家すみかと、またかくの如し。

 有名な『方丈記』の序文だ。諸行無常な世の中で、なにかを分かったつもりになるのは、愚かかもしれない。

 しかしそれでも、私は同じ場所に2度行くことを好まない。
 これは性癖の問題だと思う。

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