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[日記2009年05月15日(金)に思った娯楽のこと

おれが出会った強者たち(2/3) 竜巻仙人

おれが出会った強者たち(2/3) 竜巻仙人

彼は竜巻仙人と呼ばれていた。本名は知らない。

竜巻仙人はリュウ使いで、竜巻旋風脚の使い方がじつにうまい。「うまい」と「強い」は同義ではない。強い攻撃はパターン化され、パターン化された攻撃は怖くない。怖いのは、まったく予想しないタイミングで技を繰り出されること。そういう意味で、竜巻仙人は驚異だった。

竜巻仙人の技はほとんど意味がない。たとえばスタート直後、いきなり斜め後方に空中竜巻旋風脚で飛ぶのだが、敵は前にいるから、当たることはない。敵が近づくと、その分、仙人は逃げる。画面の端っこになると、一瞬のスキを突いて場所を入れ替えて、逆方向に逃げる。一瞬のスキを突いて攻撃するわけじゃない。
なぜ逃げるのか?
はじめて対戦した人は戸惑うだろう。わざわざ乱入して(100円払って)逃げるのは理解できない。その苛立ちが、仙人を追いかける動作をわずかに粗くする。そこに仙人の攻撃が当たってしまう。たとえるなら、無軌道に飛び回るコマにぶつかったようなもの。ムカッと来るけど、怒ったら負ける。しかし冷静であっても、仙人の攻撃は読めない(意味がないから)。
向きあうと、勝とうとする自分に負ける。人は彼を、竜巻仙人と呼ぶ。

余談だが、竜巻仙人の逃げは徹底していた。『X-MEN』でサイクロップスを使うと、2段ジャンプで大ビームを連発。ずっと地上に落ちてこない。『ギャラクシーファイト』は画面の端っこがないから、果てしなく逃げつつける。手に負えない。

しかし竜巻仙人は、私が対戦格闘ではじめて勝利した相手である。
当時、私は満足にコマンド入力できなかったため、自分でも意図せぬタイミングで出てしまう。無意味に大昇竜が出ると、その軌道上に、吸い込まれるように竜巻仙人がやってくる。当たる、当たる、どんどん当たる。気がつくと、私は勝っていた。さすがの仙人も、無垢には勝てなかったか。

ところが私が上達して、相手の動きを見るようになると、ふたたび勝てなくなった。仙人の無意味な動きに翻弄され、気がつくと負けている。うぬぬ。恐るべし、竜巻仙人。

ものすごく強い相手は、目をつむった方が勝てる。奇妙な話である。

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