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[日記2009年07月05日(日)に思った娯楽のこと

[報道・教養] 美の巨人たち 濤川惣助「迎賓館 七宝花鳥図三十額」 / 七宝を打ち破る七宝

[報道・教養] 美の巨人たち 濤川惣助「迎賓館 七宝花鳥図三十額」 / 七宝を打ち破る七宝

7月4日放送の『美の巨人たち』では、七宝花鳥図三十額が取り上げられた。

見てない人のため、あるいは私が忘れてしまったときのため、番組を要約しておく。

美の巨人たち 濤川惣助「迎賓館 七宝花鳥図三十額」

迎賓館赤坂離宮の花鳥の間に飾られている30枚の花鳥図。
制作したのは、濤川(なみかわ)惣助。農家の次男に生まれた濤川は、30歳にして七宝に魅せられ、工芸美術の道を歩む。
精緻な文様を描く「有線七宝」という技法に満足できなかった濤川は、絵画のようなにじみやぼかしを生み出す「無線七宝」を考案する。それは現代においても再現がきわめて困難な、神がかり的な技法だった。
時は流れ、迎賓館(当時は東宮御所)に飾る花鳥図の制作に、2人のナミカワが選ばれる。1人は有線七宝の巨匠・並河靖之。もう1人は無線七宝の濤川惣助だった。両者の作品はともに素晴らしかったが、迎賓館の雰囲気によりなじむ濤川惣助に依頼された。
30枚の花鳥図を仕上げ、迎賓館が竣工した翌年の1910年、濤川惣助は力尽きたかのようにこの世を去るのだった。

もうね、びっくりさ。
同じく『美の巨人たち』で先日、並河靖之作『蝶図瓢形花瓶』を見たけど、まさに息をのむ美しさだった。正直、私は美術品のよしあしはわからないが、それでも圧倒された。そんな並河靖之と競った、もう1人のナミカワがいたなんて。明治時代はすさまじい。

そして「無線七宝」に驚嘆する。
気が遠くなるほど手間がかかる有線七宝も、無線七宝の前ではかすむ。現代の七宝職人が「無限に手間と時間をかけていいなら……」と評するのもわかる。正気では思いつかないし、実行できない技法だ。

さらに、濤川惣助にも心動かされる。
七宝に魅せられて入門した男が、七宝の根底的な技法を打ち破ってしまう。岡本太郎がピカソを乗り越えようとしたエピソードを彷彿させる。感動したものに頭を下げちゃ駄目なのか
一介の農民から七宝作家となった濤川惣助にとって、東宮御所に飾る花鳥図を依頼されたことは、どれほど名誉なことだったのだろう。それも、自分自身が編み出した無線七宝によって。それはまさに、命がけの制作だったのかもしれない。

ネットで調べてみると、『七宝花鳥図三十額』に関する情報は意外に少ない。美術館ではなく、一般の人が入れない迎賓館に飾られているせいだろうか。あれほどの美術品が、ごく一部の人しか見られないのは残念だが、濤川惣助のことを思うとなんとも言えない。
迎賓館赤坂離宮の一般見学で、『七宝花鳥図三十額』が飾られている大食堂『花鳥の間』は見られるのかな? 2009年の申込みはすでに終了しているから、2010年に申し込んでみたい。

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