日記  2009年08月12日(水) に思った 娯楽 のこと

[小説] 終わりなき戦い / なにもかもが変わってゆく中で

[小説] 終わりなき戦い / なにもかもが変わってゆく中で

『終りなき戦い』を読了した。

『終わりなき戦い』は、1974年に出版されたジョー・ホールドマンのSF小説。久々に、スケールの大きな物語を読みたくなったので、手に取ってみた。

終わりなき戦い(The Forever War):あらすじ

超光速航法「コラプサー・ジャンプ」を発見した人類は、宇宙に版図を広げていた。ところが謎の異星人《トーラン》の襲撃を受けたことで、人類は泥沼の星間戦争に突入する。
主人公マンデラは徴兵され、過酷な訓練を受け、遙か彼方の戦場に送り込まれる。1つの戦いから帰還すると、地球はウラシマ効果で数年、数十年、数百年が経過している。自分の家族や知人はこの世を去り、社会は理解しがたい変容を遂げていく。早く退役したいが、どこにも居場所がない。
マンデラはなんのために戦っているのか?

いやぁ、おもしろかった。
序盤は退屈だが、だんだん興奮して、ページをめくる手が止まらなくなる。訳も読みやすい。

主人公マンデラは愛国心がきわめて薄く、戦争をきらっている。
しかし、なぜ戦うのかと悩んだり、サボタージュするようなことはない。不平不満はあっても、命令には従って、より安全な選択肢が出てくるのを待つ。その姿は、現代に生きる私たちにとても近い
分類すれば、本書は戦争SFになるが、左翼・右翼的な思想はまったくない。むしろ、戦争を特殊なものとして扱っていない。その渇いた筆致が小気味よい。

そしてホールドマンが予測する未来イメージに圧倒される。
とりわけ、セックス観の変化がおもしろい。

物語のスタート時である1997年──2009年に生きる私たちにとっては「過去」だが、執筆当時からは23年後の「近未来」──において、先進的なセックス観(フリーセックス)をもっていた主人公も、数百年単位の変化にはついていけなくなる。
この変化を見ると、いま現在の価値観(結婚や出産の風習、LGBT、化粧など)が、永遠不変のものではないと思い知らされる。実際、私たちは親の世代の価値観を継承していない。
このへんは本作品のテーマなので、詳しいことは伏せておこう。

2023年の「就職からの解放」も強烈だったけど、これ以上はなにを言ってもネタバレになるな。
とにかく、おもしろかった。
最近、古典ハードSFが好きになってきている。

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