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[日記2009年09月12日(土)に思った娯楽のこと

[漫画] 冷食捜査官(1) / すばらしき、とり・みきの世界

[漫画] 冷食捜査官(1) / すばらしき、とり・みきの世界

「だんな、いいものがありますぜ」

 そう言って、よねこさんが取り出したのは1冊のマンガだった。書名は『冷食捜査官(1)』。(1)という数字を見て、私は眉をしかめた。
「悪いが、つづきが気になるマンガを増やす気はない。ペルシャじゅうたんを買いに来たわけじゃないんだ」
 しかしよねこさんは、こう太鼓判を押した。
「大丈夫。とり・みき だから」
 よくわからないが、たまには騙されてみるか。

 一話完結型なので、つづきが気になることはなかった。どこから読んでも、どこで放り投げても問題ない。第1話が雑誌に掲載されたのは1991年だってさ。それから方々の雑誌に掲載されて、17年を経て単行本にまとめられた。そんな漫画に(1)なんか付けるなよ。(1)のせいで敬遠する人もいるんだぞ~。

冷食捜査官(1)

近未来、合成食料が普及したことで、自然食品の製造や飲食はもちろん、所持さえも禁止されるようになった。しかし「昔の味」を忘れられない人々は、食料統制前に製造され、地下に貯蔵されていた冷凍食品を密かに楽しんでいた。冷凍食品を求めて巨額の金が動き、大量の血が流されるようになったのだ。
こうした冷食犯罪を取り締まるのが、農林水産省所属「冷食捜査官」である。

 いやぁ、おもしろかった。
 馬鹿馬鹿しいテーマに、ふざけた絵柄。なのにストーリーは骨太。名前がない冷食捜査官のモノローグがたまらない。渋い。渋すぎる。
 このシュールなおもしろさは、読んでない人には伝えられない。

 12のエピソードが収録されているんだけど、よくできてる。セリフも展開も計算されつくされている。ワンパターンなのに、どれも斬新。ちょっとマネのできない世界だ。とり・みきは、「ハードボイルドギャグ」とも言うべき独立したジャンルを構築しているね。

 冷食捜査官(1)は、第1巻と銘打ってあるものの、第2巻が出る可能性はきわめて低い。仮に発売されることがあっても、何年先のことになるやら。しかしこの17年で、絵柄もテンポも変わらなかったから、何年先であっても、今日と同じように楽しめるだろう。冷凍食品のように。

 あぁ、つづきが読みたい。

 ちくしょう。
 よねこさんにしてやられたか。

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