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[日記2011年05月09日(月)に思った娯楽のこと

ディズニーの原作改変と差別問題

ディズニーの原作改変と差別問題

 ディズニーの長編映画、『リトル・マーメイド』を鑑賞した。

 アンデルセン童話の『人魚姫』とはまったく異なる展開なので驚いた。まだ見てない人で、ワクワクしながら見たい人は、ここで読むのをやめてほしい。

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 人魚姫と言えば「悲しい恋」の象徴だが、ディズニーの人魚姫(アリエル)は恋が成就しちゃうのだ。だから人間の娘に嫉妬することも、人魚にもどるため短剣で王子を刺すか迷うこともない。おまけに『II』では娘まで登場する。もう、びっくり!

ディズニーによる原作の改変

 まぁ、子どもに夢を与えるディズニー映画で、ヒロインが泡となって消えるはずもない。しかしこの改変は、原作の精神をひっくり返している。浦島太郎が歳をとるのはかわいそうだから、そのまま帰宅しちゃうようなもの。ここまで変えちゃっていいのか?

 断っておくと、『リトル・マーメイド』はおもしろかった。魔女が倒すべき敵を演じてくれるから、とてもわかりやすい。王子もきちんと働いている。子どもに見せる映画として、なんら不満はない。
 ただ……アンデルセンの『人魚姫』とは別物だ。
 子どもには、ディズニーのリトル・マーメイド(The Little Mermaid)と、アンデルセンの人魚姫(The Little Mermaid)は、似て非なるものだと教えてやる必要がある。

性差別内容に対する批判

 その後、『リトル・マーメイド(1989)』が人権団体にバッシングされたことを知る。つまり人魚姫(女)が帰属する社会を捨てて、王子(男)と結婚することで幸福になれると描くことは、性差別内容だというのだ。
 ちなみに、5年前の『スプラッシュ(1984)』は、人間(男)が人魚(女)の世界に身を投じる逆パターンだったので、バッシングされなかった。人権団体は、特定のエンディングしか認めないようだ。

 激しい抗議にさらされたディズニー社は、以後の作品では「より慎重に女性の役割について考える」と公式に約束する。
 結果、2年後の『美女と野獣(1991)』は、やたらフェミニズム重視の作品になってしまった。もちろん、こちらも原作を大幅に改変している。
 さらに11年後の『リトル・マーメイドII Return to The Sea(2000)』では、娘が人間の世界と人魚の世界のどちらかを選ぶシーンがあって、両方をつなげることでハッピーエンドとした。
 もうね、どちらか選ぶと、選ばれなかった方にバッシングされそうな勢いだよ。

正義なき戦い

 娯楽作品に対して、やれ「ケシカラン」だの、やれ「教育に悪影響」だの抗議する連中は好きになれない。娯楽は多かれ少なかれ毒を含むもの。現実を健全に生きるために、娯楽は不健全であるべきだ。検閲されたハッピーエンドばかり見せられたら、それこそ子どもの教育に悪い。

 しかしバッシングされるディズニーを擁護するつもりもない。ディズニーは原作を改変した時点で、差別内容と向き合う義務を負ってしまった。またオリジナルタイトルじゃないから、「改変の意図」を勘ぐられるのもやむを得ない。

 結論。童話はいじらない方がいいと思うね。

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