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[日記2011年08月20日(土)に思った娯楽のこと

[報道・教養] NHK総合「ふたり~宮崎駿×宮崎吾朗 コクリコ坂・父と子の300日戦争」 / 巧妙な承継

[報道・教養] NHK総合「ふたり~宮崎駿×宮崎吾朗 コクリコ坂・父と子の300日戦争」 / 巧妙な承継

NHK総合の『ふたり~宮崎駿×宮崎吾朗 コクリコ坂・父と子の300日戦争』がおもしろかった。

私がもつ悟朗氏のイメージは、「才能がないのに勘違いしちゃった人」、あるいは「二世であることを営業に利用された人」だった。しかし番組で描かれた悟朗氏は、才能がないことも、下駄を履かせてもらっていることも理解した上で、監督業に挑んでいた。その姿には好感がもてる。また、息子を突き放しつつも見守る父・駿氏も大きかった。
父と子のドラマは、おそらく映画よりおもしろいと思う。

息子は覚悟した。
父・宮崎駿とくらべられる宿命を背負いながらも息子・宮崎吾朗は、再び監督に挑む。
映画を通じ衝突し、反発し、葛藤する父と子の物語。
ふたり | 夏ナビ NHK夏の特集番組

『ゲド戦記(2006)』はひどかった。まぁ、当然と言えば当然で、なんの経験もない二世が傑作を撮れるはずもない。なのに、2006年の邦画興行収入1位を稼いでしまったのは、おぞましい話だ。ジブリは映画の質ではなく、親子の確執をネタに集客したのだ。「父さえいなければ、生きられると思った。」なんてキャッチコピーはあざとすぎる。

あれから6年が経ち、悟朗氏はふたたび監督業に挑戦する。おまけに駿氏が脚本を引き受けたとか。あの宮崎駿と共同作業ができるのか? そこが興味のポイントだった。

実際、駿氏の存在感は大きかった。演出に行き詰まっているとき、駿氏はたった1枚のイメージカットで現場を動かしてしまった。こんなことをされちゃ、監督の立場はない。ありがたいやら、目障りやら。
また東日本大震災の発生時も、「生産点を止めるな!」とスタッフを叱咤する駿氏はかっこよかった。駿氏はおもしろい物語を紡ぐだけでなく、人を動かす力も強い。悟朗氏が乗り越えようとする山は果てしなく大きかった。
ラストのヤリトリが印象的だった。父は子に倒されることを願っているようだ。

父「少しは脅(おびや)かせって、こっちを!」
子「くそッ...死ぬなよ!」

「イイ話ダナァ...」と思うかたわらで、承継の難しさに気づいた。偉大な人物が築いたものを受け継ぐのは大変だ。創始者が生きていれば、なおさらだ。より才能ある人が受け継ぐべきだが、ぶっちゃけ、二世でなければならない場合もあるようだ。政治家や経営者が二世に承継させるのは、(息子に継がせたいと)創始者が求める場合と、(息子さんが継いでくださいと)組織が求める場合とでは、どちらが多いのだろうね。

とはいえ、二世だけにたよるのは危険だから、対立候補も立てる。つまり米林宏昌監督だ。2人は互いを意識しながら、切削琢磨し、宮崎駿のブランドを引き継ぐのだろう。こうして見ると、巧妙な承継プランだと思う。

最近のジブリは映画より、こうした内情の方がおもしろいのは困ったことだ。

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