日記  2011年10月20日(木) に思った 社会 のこと

[映画] 東京原発 / 今こそ見るべき映画だ

[映画] 東京原発 / 今こそ見るべき映画だ

2002年公開の映画『東京原発』がおもしろかった。

ストーリー

東京都のカリスマ知事天馬は、臨時会議の席上で、東京に原子力発電所を誘致すると宣言する。この爆弾発言を巡って会議は大激論へと発展するが、その頃、お台場にはフランスから極秘に大量のプルトニウム燃料が到着していた。

感想

2002年はコメディだが、福島原発事故が起こった今見るとあまりにブラック。安易に原発反対に終始せず、そもそもエネルギー問題を議論していないという指摘は痛烈だった。たしかに私たちは考えていない。原発のリスクを許容するか、新たなエネルギーを開発するか、生活水準を落とすか? 傍観は、一部の「偉い人」が決めたことへの賛成になるのだ。

こっそりプルトニウム燃料を運ばせる役人の受け答えが印象的だった。
「なに言ってるんですかぁ。国のやることに責任者なんかいるはずないでしょう」
絶対安全といいながら、責任をとる人間も組織もいない。福島原発事故が、それを証明してしまった。無責任な絶対安全。ここに、原発問題の根源があると思う。

映画として見ると、知事の真意がわかりにくい。議員たちの憶測が正鵠を射ていたとしても、知事は驚くか、照れるべきだろう。また核ジャックの混乱も局所的。出動許可が出ない自衛隊や、渋滞に巻き込まれる爆弾処理班の当惑も描いてほしかった。

それから、「死の灰」やプルトニウム燃料容器の言及に誇張があったのは残念。正確でないことは仕方ない。だって「日本の原子力に関する情報公開は、ロシアにも劣る」のだから。なのでたとえば、「プルトニウム燃料容器は絶対安全と聞いていますが……本当かどうかはちょっと……」とか、「この搬送が正規のルートであれば……」と濁す方が説得力があったと思う。

しかし、おもしろかった。テンポもよく、エンディングも切れ味があった。細かいところで批判するのは意味がない。多くの人に見てもらいたい映画の1つである。

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以下、ネタバレ
映画を見る気がない人のために、ストーリーを書き出しておく。

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1.原発の有効活用

ある日、知事が「東京原発」のアイデアをぶちまけた。東京都に原発があれば国から莫大な交付金がもらえるし、長距離の送電網がいらないから電気代も下がる。おまけに原発が発する熱も利用できて、じつに効率的だ。
原発が絶対安全であることは、国が太鼓判を押している。そもそも危険なら、「地方はいいけど、東京は駄目」という考え方はおかしい。核廃棄物はどうやっても処理できないが、それは国と電力会社が考えることで、都には関係ない。
知事の意見はスジが通っていた。

2.本当に安全なのか?

議員たちは反対派の学者を呼んで、意見をうかがう。学者はさまざまなデータを見せて、原発の危険性を訴える。のんきに構えていた議員たちも徐々に戦慄していく。原発が安全でないなら、そんなものが国内にあるのはおかしくないか?
そのころ、役人がプルトニウム燃料を都内に搬送していた。知事は怒るが、役人は国家機密だからと取り合わない。

3.反対だけじゃ前に進まない

議員たちは「東京原発」反対に傾く。しかし地方の原発はどうする? 原発に反対するなら、代替案が必要だ。学者は「原発を止めても電力は足りる」と言うが、今後の需要増加を見込んでいない。
日本では原発のみに予算が割り振られるため、ほかのエネルギー開発は進みにくい。これでは選択肢を奪われているようなものだが、国の方針に都が文句を言ってもはじまらない。

4.ならば議論を

エネルギー問題は国の将来を左右する重大なテーマなのに、こうして議論されることはなかった。知事が「東京原発」を宣言すれば、こうした議論がわき起こるのではないか? 結果、国の方針が見なおされ、新エネルギー開発に予算が付くかもしれない。
それでも都民が無関心だったら? そのときは「東京原発」を作るしかない。

5.絶対安全の脆さ

役人の不注意から、プルトニウム燃料が少年に核ジャックされてしまう。爆弾が仕掛けられ、猶予はわずか60分。容器が破損すれば、最悪、日本全土が汚染されてしまう。しかし核ジャックの対応マニュアルは存在せず、だれも対応できない。
さいわい、少年の気まぐれによって事なきを得た。
知事は「絶対」なんてありえないと吐き捨てる。

6.まだ間に合う? もう遅い?

知事は「東京原発」は宣言した。事なきを得たトラブルは、もう議論されない。人々はすぐ過去を忘れてしまう。重大事故が起こる前に議論すべきなのだ。
しかしトラブルは解決していなかった。プルトニウム燃料容器からチェレンコフ光が……。

[おわり]

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