日記  2011年11月26日(土) に思った 生活 のこと

ヱビスはお好き? / 美味しんぼの呪縛

ヱビスはお好き? / 美味しんぼの呪縛

ヱビスビールはお好きですか?

私はたまに飲むんだけど、けっこう苦手。この風味をなんと表現すればいいのだろう? どこか金属的で、独特の後味がある。私が好きなプレミアムモルツやヒューガルデンにはない味だ。
苦手なんだけど、どのくらい苦手か確かめるように買ってしまう。苦手なのに、なぜ飲んでしまうのか? おそらく『美味しんぼ』の影響だろう。

『美味しんぼ』でドライビールが取り上げられたのは1988年のこと。(『ドライビールの秘密』 第18巻収録)。読んだ人ならわかるだろうが、山岡士郎のドライビール批判はすさまじかった。あれを読むとドライビールが嫌いになるだけでなく、「ドライが好き」というヤツが馬鹿に見えてしまう。一方、山岡はヱビスビールを絶賛した。これぞ本物のビール! 飲んだあと、舌の上に黄金のピラミッドが立つ!

ドライ党は味覚音痴。
ツウはヱビスビールを好む。

当時、私は17歳でビールを飲めなかったが、強烈に刷り込まれた。あるいは自分で確かめられないからこそ、刷り込まれたのかもしれない。『新世紀エヴァンゲリオン』(1996)の葛城ミサトがYEBICHUを痛飲しているのを見ると、認識はさらに強まった。

しかしヱビスビールは本当に美味しいのか?

私はなるべくドライを避け、なるべくヱビスを飲むようにしたが、ヱビスを「うまい!」と思えることはなかった。そもそも酒の味がわからない。それでもヱビスを飲んで、「カーッ!」と叫ぶことが、かっこいいと思っていた。

ビールをうまいと思えるようになったのは、30代後半になってから。ベルギービールとの出会いが、ビールの固定概念を打ち崩した。「これがビール、それはビールじゃない」という定義を知ることより、自分の好みを確かめる方が重要だった。

あらためてヱビスを飲む。たしかに個性的だが、私の好みではない。ツウじゃないと言われても気にしない。だって、ツウじゃないんだから。

『美味しんぼ』は権威に立ち向かう若者たちの漫画だが、『美味しんぼ』そのものが1つの権威になって、人々を惑わすようになってしまった。人々は『美味しんぼ』が褒めるものを褒め、貶すものを貶した。原作者の問題もあるだろうが、それ以上に権威に迎合しやすい人々の弱さはいかんともしがたい。

話をもどそう。
ヱビスは好みじゃないとわかっても、私はヱビスを飲んでいる。家で飲むビールとしては登場頻度が高い。苦手なのに、なぜ飲むのか?

「うえー」「くー」と顔をしかめながら飲む。
あんがい私はヱビスを好きなのかもしれない。

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