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[日記2011年12月17日(土)に思った哲学のこと

言論と科学と暴力と

言論と科学と暴力と

BLOGOS AWARD 2011 授賞式の様子を見て、がっかりした。

なにがどう、がっかりしたか、順を追って話そう。
3月の福島原発の事故以降、私は原発関連のニュースをよく読むようになった。そんな中でも、武田邦彦氏の指摘は飛び抜けて目を引いた。一刻も早く非難しなさい。SPEEIDや気象庁のデータはなぜ公開されないのか? 政府発表はここがおかしい。この点に注意して行動しなさい。
政府やマスコミが信頼できない状況で、専門家のブログはとても参考になった。

しかし時間が経つと、武田氏の発言に論理の飛躍、理想の押しつけ、過激な表現が目立ちはじめる。科学的なことはよくわからないが、なにかおかしいような感じがする。
そこに、池田信夫氏が切り込んだ。

武田邦彦氏の売り歩く放射能デマ

池田氏は、武田氏の話をデタラメと切り捨て、人格までも批判した。池田氏は科学的根拠を示しているが、訓練を受けてない人には読み解けない。武田氏と池田氏、どちらが正しいのか?

国は東電は、原発事故の被害は大きくなく、むしろデマや風評被害を気にしている。マスコミは完全同調。武田氏は、危険なものを安全という方がデマだと批判する。しかし池田氏の指摘が正しいなら、武田氏こそがデマを流していることになる。
武田氏と池田氏はともに学者であり、ブログの支持者も多い。このままウヤムヤにしていいはずがない。私はふたりの論戦を楽しみにした。ケンカしてほしいわけじゃない。学者らしい、科学的な論戦がはじまると思ったのだ。同じように注視する人もいた。

池田VS武田論争から何を学ぶか(早川忠孝) - BLOGOS(ブロゴス)

しかし論戦はなかった。武田氏は人格攻撃に反論しないと言い、池田氏の指摘にあいまいな返事をするに留めた。それ以降、武田氏のブログは科学よりモラルに訴える論調が目立つようになった。

武田邦彦 (中部大学): 科学的な間違いに振り回されないように(1) 原発と核爆発

第1に、反論しなかった武田氏にがっかりした。
相手は根拠を示しているのだから、やはり根拠を示して反論するか、相手の主張を認めるべきなのだ。いや、武田氏も科学的根拠の乏しさは認めている。しかし学者が科学より法律やモラルを優先するのはおかしい。武田氏に影響されて大騒ぎした人もいるのだから、責任のいったんはあるだろう。

第2に、人格攻撃を仕掛ける池田氏にがっかりした。
その後も池田氏はたびたび武田氏を批判(挑発)するのだが、いちいち癇に障る書き方をするので、科学的な論戦になりにくいのだ。議論としては、池田氏の価値だろう。相手を言い負かしたのだから。しかしそれでは活発な議論にならない。論壇がぶちこわしだ。

断っておくと、私は池田氏の支持者でもある。池田氏のブログは理知的で、参考になる。しかし辛辣すぎる口調から、よけいな敵を作っている。まぁ、相手の気持ちを一顧だにしない性格であればこそ、ズバリ本質を突けるのかもしれないが。

そしてBLOGOS AWARD 2011が開催され、犬猿の仲である武田邦彦氏と池田信夫氏が、ともに賞を受賞し、トークショーの壇上に並ぶことになった。その様子をUSTREAMで見たわけだが……

BLOGOS AWARD 2011 授賞式

2011年12月5日に行われたBLOGOS AWARD 2011の授賞式の模様。話題賞、経済・金融賞、議員賞、ブログメディア賞、ページビュー賞、そして大賞の発表です。後半には受賞者によるトークショーも。

トークショーではやはり池田氏が武田氏を挑発していた。武田氏は完全無視したが、これは池田氏が悪い。あんな受賞の場で論戦を仕掛けてどうするのか。まったくもう。

ふたりとも、生の姿を見たり、声を聞くのはこれがはじめて。動画で見ると、ふたりの性格がよくわかる。武田氏は善意が強すぎて、科学者の本文を失いつつある感じ。池田氏は理性を、こん棒のように振り回す人物だ。まちがっている人間は打ち負かし、排除することが正義と思っている。
ふたりとも悪人ではないし、とても賢い。だが、議論はできない。

悲しい気持ちになったが、ふたりの論争から重要なことを学んだような気がする。

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