日記  2012年01月27日(金) に思った 科技 のこと

[動画] 物理演算と遺伝的アルゴリズム

[動画] 物理演算と遺伝的アルゴリズム

物理演算と遺伝的アルゴリズムがおもしろい。

物理演算(物理エンジン:Physics engine)とは、物体の運動を物理法則に基づいてシミュレーションするソフトウェアのこと。たとえば、ボールを投げたときの放物線や落下時の衝撃、形状や摩擦による影響などを計算する。もともとコンピュータは弾道計算のために開発されたのだから、これが本来の役割と言える。

コンピュータの高性能化、低価格化によって、物理演算は科学技術分野のみならず、映画やゲームにも応用されはじめた。さらに「Blender」のようなフリーウェアによって、個人のパソコンでも物理演算を使えるようになった。すごい時代になったもんだ。

で、そうした物理演算を用いたCGや実験映像が、ニコニコ動画に投稿されるようになった。まだ数は少ないが、私は大好きだ。たとえば、こんな映像がある。200km/hでアッパーカットすると、どのくらい吹っ飛ぶか検証している。

当たり前だが、複雑な運動を扱うと難しくなる。たとえば、ボールと壁の衝突は簡単だが、歩いている人間と走っている人間の衝突を計算するためには、「歩く」「走る」といった運動のアルゴリズムを解析しなければならない。人間が無意識にやっている運動も、コンピュータに理解できるよう数値化するのは面倒だ。

そこで、コンピュータ自身に学習させる方法が考案された。条件と評価基準を与え、適応度の高いパターンで新たな世代を作り、検証を繰り返す。生物の環境適応に見立てた学習法を、遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm)と呼ぶ。

で、こんな動画が公開されていた。「ブランコを漕ぐ」ときの運動を、人間が指示した場合と遺伝的アルゴリズムで学習させた場合が比較されている。

遺伝的アルゴリズムでブランコの漕ぎ方を学習させた。

遺伝的アルゴリズムでハイハイを学習させた。

シュールな笑いの中に、ぞくりと怖いものを感じなかっただろうか?

今はまだ単純だが、この調子でどんどん性能が向上したら? どんどん学習したら? なにを学習すべきか、なにを後回しにするかも学習し、学習に人間の入力を必要としなくなったら?

人工知能が自立的に学習できるようになると、際限なく知能増幅が進むため、既存の未来予測が通じなくなる。これを、技術的特異点(Technological Singularity)と呼ぶ。

映画『ターミネーター』の人工知能スカイネットが、自我に目覚めた瞬間のことだ。ロボットの反乱はSFの定番テーマだが、より強い制約(ロボット工学三原則のようなもの)があれば、強い人工知能もコントロールできるかもしれない。
ドラマ版『ターミネーター サラ・コナー・クロニクルズ』では、スカイネットがいかにして技術的特異点を越えるかがテーマだった。楽しみに見ていたんだけど、尻切れトンボに終わってしまった。無念。

話が拡散してしまったが、物理演算と遺伝的アルゴリズムはおもしろい。1994年(23歳)にPlayStationが発売され時は、3D処理を中心に据えたスペックを疑問視する声もあったが、今じゃ3D処理は当たり前だ。次のゲーム機が物理演算を中心に据えても不思議はない。そして、次の次は自分で学習するゲーム機か?
私が50歳のとき、60歳のときは、どんな世界になっているのか……今から楽しみだ。

むにむに氏がアップしたほかの動画もおもしろいよ。
→YouTube版 http://www.youtube.com/user/99munimuni
→ニコニコ動画 http://www.nicovideo.jp/user/1414218

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