日記  2012年07月14日(土) に思った 娯楽 のこと

[漫画] 未来日記 / 自分の幸せがすべてに優先する

[漫画] 未来日記 / 自分の幸せがすべてに優先する

 『未来日記』をドラマ→アニメ→漫画の順で見た。

 発表された順番としては逆になるが、かえって楽しめたと思う。それぞれの違いに注目しつつ、包括的な感想をまとめておきたい。ネタバレを含むので未見の方は読まないように。

2012年 - テレビドラマ 未来日記-ANOTHER:WORLD- (全11回)

未来日記

 最初に見た『未来日記』。このときは知らなかったが、テレビドラマ版は漫画&アニメとはまったく別物だった。かぎられた予算と話数、そして生身の俳優で表現できるよう、大胆に改変されている。ちゃんとSFドラマだったのはうれしかった。
 しかし設定は粗い。実験的な医療補助システムがどうやってサイバーテロを起こすのか? デウスは患者にゲームを強要して、なにをしたかったのか? 不合理な点が多すぎる。
 また終盤で主人公がヒーローになってしまったのも残念。あきらめの早い主人公が「すべての人を救う」なんて言っても説得力がない。あとで知ったことだが、これは原作のテーマである「好きな人だけ救う」の逆張りだった。

 余談だが、由乃役を演じた剛力彩芽はかなり違和感があった。ヤンデレ美少女を生身の人間が演じれば、どうしたって「ズレ」を感じる。しかし話数が進むにつれ、むしろその「ズレ」が合っているように思えてきた。詳しいことは知らないが、この女優さんは事務所のゴリ押しが激しいとか。つまり「望まれていないのにムリヤリ出てくる」というところが、うまくシンクロしたのかもしれない。

2011年 - アニメ 未来日記 (全26話)

未来日記

 テレビドラマ版のあとに鑑賞。まるで話が違うので驚いた。未来日記ごとに性能の差によって、虚々実々の駆け引きが成り立つのか。由乃の狂気、攻撃性もいかんなく発揮され、痛快だった。
 キスやセックス、レイプといった性的表現が多いことに驚く。ストーリー的に誤魔化すこともできるのに、あえて直接的に言及している。最近の深夜アニメはすごいな。
 しかし中盤からだれる。由乃の記憶混乱、ムルムルの過剰介入、秋瀬或の飛び抜けた知略によって、ゲームは大いに乱れてしまう。また、どんな目に遭ってもへこたれない友だちもリアリティを損ねた。終盤はもうセカイ系のような展開で、唖然としてしまった。
 時空王がこれほど不自由な存在と知っていたら、ゲームは成立しなかったのではあるまいか。まぁ、主催者である時空王が、自分にとって不利な情報を隠すのはわかるが、どうしてゲームで後継者を選ぶのかは理解できない。

 比べると、テレビドラマ版の方がまとまっていたかもしれない。アニメの方がおもしろいと思っていたけど、そうとも言えなくなってしまった。

2006年 - 漫画 未来日記 (全12巻、外伝全2巻)

未来日記

 最後に原作漫画を読んだ。おもしろかった。ストーリーはアニメと同じだが、漫画の方が主人公・雪輝の気持ちがよくわかる。それに携帯画面の文字がゆっくり読めるのもうれしい。思うにアニメは、外伝などの情報を詰め込んだせいで、雪輝の視点がわかりにくくなってしまったようだ。
 雪輝は傍観者で、社会に対する理想も正義も不満もない。愛する人さえいない。ただ生き残るためだけに奔走し、由乃を利用する。アニメを見ているときは、ふたりは結ばれる運命と思い込んでいたが、そうじゃない。本来は結ばれない運命を、由乃が打ち破ったのだ。

 最終局面のヤリトリが印象的だった。由乃は言う。

「私は依存出来る人間なら誰でもよかった。
 あなただって、守ってくれる人間なら誰でも良かったはずよ」

 このセリフをもって、由乃は狂っていなかったと言えるんじゃないかな。対して、雪輝が見つけた由乃を愛する理由も驚愕だった。

「ずっと側にいてくれたから」

 それじゃ、誰でもよかったんじゃん!
 ...と言いたいところだが、ずっと側にいるのは難しい。人を好きになる気持ちって、そんなものかもしれない。
 予知能力者による神の座を賭けたバトルロワイヤル──。そのルールや駆け引きに注目していたが、本質的には恋愛ドラマだった。そこに気づくと、すべてに納得できた。

まとめ:自分の幸せがすべてに優先する

 もう1つ気づいたのは、『未来日記』は犯罪やテロにすごく寛大だってこと。雨流みねねはもちろん、由乃も、雪輝も、たくさんの人命を奪っている。そんな人間は幸福になれない(なってはならない)と劇中でも語られているのに、その不文律は破られた。あのルルーシュでさえ、死を免れることはできなかったのに。

 自分の幸せはすべてに優先する。
 恋人さえも、自分が幸せになるためのパーツでしかない。

 最後までブレなかった。自分本位を貫いて幸福になれる物語なんて珍しいのではないか? それが本作最大の魅力だと思う。してみると、テレビドラマ版が「みんなの幸福のためなら死んでもいい」という教科書的なゴールを迎えたのは、いい対比になっている。まちがっていないが、そんなきれいごとじゃ感動できない。
 最大多数の幸福より、まず自分自身。
 たぶん、いまの若者たちもそう思っているんじゃないかな。

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