日記  2012年12月01日(土) に思った 生活 のこと

痛い目に遭わないと駄目か

痛い目に遭わないと駄目か

 奥歯を抜いた話のつづき。

 11月に実家に帰ったとき、甥っ子に抜いた奥歯を見せてやった。私としては、奥歯を抜かれる悲惨さを見せることで、歯磨きの大切さをわかってもらうつもりだった。

 日記で何度も書いているけど、歯の治療はめちゃくちゃ痛い。実際の痛みより、「痛くなりそう」という予感だけで身がちぢみそうになる。身体の傷は治っても、痛みの記憶は消えない。
 痛みは、心のかたちを変えてしまうのだ。

「だから、しっかり歯磨きするんだぞ」
 私が言うと、甥っ子はたったったーと走っていって、小さな箱をもってきた。乳歯が入っているそうだ。
「ぼくもね、歯を、抜いたんだよ!」
 誇らしげな笑みは、自分は伯父さんと同格だと言いたいのか。

「いや、ユキちゃん。ちがうんだ。
 ユキちゃんの抜けた歯は乳歯で、伯父さんのは永久歯だ。
 人間の歯は、1回しか生え替わらない。
 乳歯は抜けてもいいが、永久歯は駄目なんだ」
「ふーん」
「永久歯が虫歯になると、歯を残したまま治療するから、とても痛いんだ。
 そりゃもう、とんでもないほど痛い。
 だから、しっかり歯磨きするんだぞ」
「ふーん」

 わかっているのか、いないのか。
 まぁ、わかってないんだろうな。

 どうやったら歯の大切さを教えられるだろう?
 言い換えるなら、どうやったら歯の治療に伴う痛みの熾烈さを伝えられるだろう?

 私が真剣に話しても、歯の治療で苦しむ人の姿を見せても、甥っ子は理解しないだろう。自分が経験したことのない痛みを理解するには、それなりの時間がかかる。最近は高校生でも他人の痛みがわからないから、6歳児にわかれと言うのは無理がある。

 結局、痛い目に遭わないと駄目なのか?

 乳歯が抜けるときは痛まないが、永久歯はちがう。
 虫歯になってから歯磨きしても、間に合わない。
 永久歯が損耗したら、元には戻らない。
 1本抜けたら、あとは連鎖だ。

 あぁ、人間ってのは、ままならない。

 世の中には「人体は神(に匹敵する知性)がデザインした。それゆえ完璧である」と主張する連中がいるけど、歯が1回しか生え替わらない事実だけでも、完璧とは言いがたいよね。

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