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[日記2012年12月03日(月)に思った生活のこと

町内会って大変なのね

町内会って大変なのね

 おふくろから聞いた話。

 実家の町内会が、防災対策をすることになって、家族構成や緊急連絡先をまとめようとしたが、頓挫したらしい。個人情報が詰まった帳簿は、それ自体が犯罪に利用される恐れがあるからだ。考えてみると、いろいろ難しい話だと思った。

ゼロからの地縁

 私の実家は、千葉県千葉市の新興住宅地にある。埋め立て地だら、昔から住んでいる人はいない。全住民がよそ者というわけだ。一家が引っ越したのは1981年(昭56)だから、もう30年前か。それだけ時間が経つと、地域の結びつきもそれなりに生じるようになる。

 つまり、それだけのトラブルを乗り越えたとも言える。夏祭りをどう開催するか。町内会の仕事をいやがる夫婦をどう説得するか。空き巣被害にどう立ち向かうか。そうしたトラブルを乗り越えることで、地域の結びつきは強まっていくのだ。

試される地縁

 しかし東日本大震災ほど大きなトラブルはなかった。町内では家屋の倒壊や火災こそなかったが、地割れや陥没、隆起、断水といった被災があった。市や県、国が対応すべきこともあるが、まず最初に行動すべきは町内会になる。が、なにをどうしていいやらわからず、担当者は苦労されたらしい。

 1年が経って、防災対策を検討することになった。東日本大震災クラスの災害がふたたび起こらないと、だれが言えるだろう? 準備すべきことは多い。
 まず困ったのは、安否確認だった。となりの家が静かになったのは、どこかに避難したせいか、箪笥の下でつぶれているせいか、見分けがつかないのだ。家を空けるときは町内会に声をかけてもらいたいが、その余裕がないときもあるあろう。なので、緊急連絡先がわかると助かる。

 だがもちろん、そんな帳簿は作れなかった。
 空き巣や訪問販売などに利用される恐れがあるからだ。

 設問に答えてくれたのは何人かの高齢者のみ。
「何日か姿が見えなかったら、1階の窓を破って入ってください」
 と書いた人もいたそうだ。
 失うものがなくなると、人を信じるハードルが下がるのかもしれない。

昔のような地縁は望めない

 私は実家を出て久しいから、町内会の様子はわからない。ゼロからスタートした土地とはいえ、30年でそれなりの結びつきはできたと思うが、昔のような地縁は作れなかった。
 たとえば火事があったとして、
「あの家には寝たきりのおばあちゃんがいる!」とか、
「息子さんは昼間は部活動でいないはず」とか、
「親戚が東北にいるって聞いてます」とか、消
 防士や警察に答えられる人は少ないだろう。

 しかしそれは仕方ないことだ。結びつきが強すぎる土地は、それはそれで息苦しい。
 私の友人は、隣人が勝手にあがりこんで、「雨が降ったから洗濯物を取り込んでおいたよ」と言われる地方がいやになって、上京した。その気持ちはわかる。

 私がいま住んでいるアパートにも、町内会は存在しない。町内会費を求められ、持ち回りで仕事をやらされるような土地には引っ越さないだろう。隣近所の目を気にせず、個人の自由を謳歌する。私はそういう生き方を選んだから、対価として孤独死することになっても、仕方ないだろう。

 防災対策のために、在宅情報や緊急連絡先を集める?

 そんなの、やる前から失敗することがわかりそうだが、わかっていてもやらなければならないことが、町内会にはあるそうだ。

 うーん。町内会ってのは大変だ。

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