日記  2013年04月19日(金) に思った 科技 のこと

旅を中継できる時代なのか

旅を中継できる時代なのか

 ニコ生で、ひとり旅を実況している人がいた。

 私が見たときは、瀬戸内国際芸術祭めぐりの最中だった。行ったことのある場所がちらほら映ったので、興味を持ち、旅の最後まで見つづけた。当たり前だが、ずっと放送(旅)しているわけじゃなく、不定期であちこちを訪れているようだ。おもしろかったから、次の放送(旅)が楽しみだ。

旅の過程を共有する

 目的地でビデオ配信する人は多いが、そこへ至る過程──レンタカーを運転したり、船に乗ったり、自転車を漕いだり、歩いたりする様子──まで配信している人は珍しい。無線環境の発達や機材の高性能化、軽量化のたまものだ。

 奇妙な感覚だった。今この瞬間、私はパソコンの前にいるが、主(配信者)は500キロ以上離れた瀬戸内海にいる。食事などで目を離すと、また少し移動している。船の上からの眺めは変化に乏しいが、ずっと見てると瀬戸内海の島につくから、なんとなく距離がわかる。

 いっしょに旅しているようだ。

不実な同伴者

 コメントがつくと、棒読みちゃんが読み上げてくれるから、主との会話が成立していた。まぁ、こんな感じだ。

主「ここは見晴らしがいいですね」
 ちょい右を見せてよ
主「こっち?」
 そうそう
 ちがうちがう
 記念撮影しようよ
 あのお姉さんに撮ってもらおう
主「やめておくよ」
 来た来た。声かけろ
 なんだよ、いくじなし
 おねえさーん!
主「よせ」
主「ここから先は撮影禁止なので、カメラにふたをします」
 えー
 おれの目を盗んだなー

 

 ひとり旅なのに、ずっとしゃべりつづけている。イヤホンしてるから、近くにいたら危ない人に見えるかもしれない。いっそ、スピーカーを付けて会話したら、見えない妖精としゃべっているようでおもしろいかもしれない。

リアルタイムのリアル

 例によって不実なコメントは多いが、有益な情報もある。レンタサイクルで道を間違えた主を誘導するから、同じ旅をしたことがある人かと思ったら、なんと現地の島民だった。おまけに主と会って、差し入れまでくれた。コメントが盛り上がる。

 町内会で見てるから、顔は映さないで
主「はい。ありがとうございます」
 ありがとう、お母さん
 ありがとう
 この声、お母さんに届いてない?
 それでも、ありがとう

 ただ旅行者が近所にいても、差し入れなんかくれないだろう。旅を放送するとこんなことが起こるのか。ひとり旅なのに、ぜんぜん寂しくない。

この先になにがあるか

 調べてみると、同じように旅を実況している人が何人か見つかった。GPSで現在地を公開している人もいる。まだ数は少ないが、これから増えていくだろう。Google Glass が普及したら、爆発的に増えそうだ。
 そうした放送すべてが楽しめるわけじゃない。今回見つけた人も、みんなを楽しませるために旅をしているわけじゃなく、自分が楽しむたびの「おすそわけ」をしているだけだ。興味がなければ、チャンネルを変えればいい。いろんな人の「おすそわけ」があるから、お気に入りも見つかるだろう。

 こんな実況が増えて行ったら、未来はどうなるんだろう? 旅だけじゃなく、ふだんの暮らしを中継する人も出てくるだろう。ライフ実況ってやつだ。彼女とのデートを中継して、耳元からアドバイスを求める電車男ならぬ電脳男も、きっと出てくるはずだ。

 いま、私は驚いているが、何年かしたら当たり前の現象になるんだろうな。
 長生きしたいねぇ。

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