日記  2013年05月20日(月) に思った 娯楽 のこと

[漫画] バクマン。 / 描いてあったこと、描いてなかったこと

[漫画] バクマン。 / 描いてあったこと、描いてなかったこと

 漫画『バクマン。』(原作・大場つぐみ☓作画・小畑健)、全20巻を読み終えた。

 おもしろかった。漫画家という特殊な世界を題材にしているが、「友情、努力、勝利」というジャンプ漫画の基本をしっかり押さえている。敵を憎んで打ちのめすのではなく、ライバルとして敬意を払い、切磋琢磨する姿がたまらない。また、いい人ばかりでなく、悪い人、弱い人、理解できない人も交え、人間ドラマに深みを加えている。それでいて、物語の中心に一途な恋愛を据えるなど、もう、憎らしいほど見事な構成だった。
 時間が経つと忘れてしまいそうなので、メモを残しておく。

ライバルはいいね

 『バクマン。』最大の魅力は、ライバルの存在だろう。同世代に、尊敬できるライバルがいる。これほど恵まれた境遇もないだろう。『バクマン。』を読むと、神はなぜ(手頃な)ライバルを登場させてくれなかったのかと、文句を言いたくなる(←ダメな発想)。『ヒカルの碁』でも、ヒカルとアキラのライバル関係は素晴らしかった。ライバルはいいよね。

トラブルと成長

 テンポがいいので、読みはじめると止まらない。これが毎週連載されていたことに驚かされる。基本はトラブル発生→解決の繰り返しだが、事後の人間関係は変化している。成長した人もいれば、しない人もいるが、事前と同じではない。いつも同じサヤにもどる、時間が止まった漫画とは一線を画している。
 同じ問題でも、ちがった答を出すことがある。でなければ、前に進めない。いつまでも若いままじゃない。へんな言い方だが、「齢のとり方」がうまい。

準備しない生き方

 サイコーは漫画家という職業を「博打」とみなし、嫌悪していたのに、飛び込むときは躊躇しなかった。絵がうまくなって、いい作品を仕上げてからデビューするのではなく、まずデビューすることを決めてから、なにを、どう描くか考えている。『バクマン。』を読んでると、準備が愚かしく思えてくる。準備すれば勝算が高まるのではなく、不測の事態に弱くなるだけだった。
 シュージンは計算高い人物だが、結婚はいきおいで決めてしまった。もっと時間をかけて互いを理解し、相性を確かめてから結婚したほうが幸福になれるだろうか? そうじゃないだろう。ほんと、準備したら負けだね。

なぜジャンプにこだわるのか

 『バクマン。』は徹底的なリアル路線で、ジャンプのアンケート至上主義や専属契約といった舞台裏も赤裸々に描いている。しかしながら描かれなかったことも多い。なかでも、主人公たちがジャンプにこだわる理由は気になった。
「ジャンプでなければ意味がない」
 登場人物はそろって断言するが、根拠は示されない。なぜか? 『バクマン。』がジャンプに連載されている「しがらみ」もあるだろうが、それ以上に生々しい現実が潜んでいるように思う。つまり、土俵のちがいだ。
 おもしろい漫画を描いても、読んでもらわなきゃ意味がない。業界一位のジャンプという土俵でなければ得られないアドバンテージがあるのだろう。が、そこを述べると他社を見下すことになるし、なにより少年漫画らしくなくなる。だからジャンプにこだわる理由は示さず、他雑誌とも競わないのだ。

 『バクマン。』は徹底的なリアル路線でありながら、娯楽として不要な部分はうまく隠している。そのバランスがとても見事だった。

次はなんだろう?

 『バクマン。』では、コミックマーケット(同人活動)や電子書籍の台頭も描かれなかった。『バクマン。』が連載された2008-2012年は、このあたりを無視できる最後の時代になるだろう。
 「漫画家を題材にした漫画」はこれからも出てくるだろうが、次はちがった世界での戦いになるんじゃないかな。

 最後にひとこと。

 岩瀬愛子がかわいすぎる。幸せになってほしい。

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