日記  2013年08月23日(金) に思った 哲学 のこと

ソイレントは人類を救うか?

ソイレントは人類を救うか?

 食糧問題を解決するかもしれない ソイレント(Soylent) という食品が製品化された。

 ソイレントは、人間が生きるのに必要な栄養素を粉末にしたもので、水に溶かして飲む。肉や野菜といった従来の食事に比べ、生産、流通、保存、調理のコストがかからない。食事時間も短縮できるそうだ。

 ソイレントだけで2週間生活した人のレポートがあがっている。それによると、若干栄養素の不足があるものの、健康で、快適で、エネルギーに満ちた日々だったようだ。人間は食べるにも、消化するにもエネルギーを使うから、栄養をそのまま摂取できるソイレントは効率的なのだろう。
 しかしソイレントに慣れちゃうと、消化機能が衰えて、ふつうの食事ができなくなりそう。まぁ、そうなってもソイレントが売れれば問題ないか? いやいや。

食事から解放されたらハッピーか?

 ソイレントが安価に供給されたら、貧しい人もゆとりある暮らしができるだろうか? それとも単純に最低賃金が下がって、労働時間が伸びるだけか? まぁ、予想される未来は後者だよね。

 ソイレントさせ与えておけば、飢えて死ぬことはない。食事時間も減るから、その分長く労働できる。しかもソイレントは飽きないから、ストレスもない。ひたすら仕事に集中できる。
 小説『家畜人ヤプー』(1956)には、食事と排泄を省かれた人間がどのように使われるか描かれている。あれこれ考えると、けっこう怖い。

 栄養摂取が目的なら、ふつうの食事はとても効率が悪い。1の結果を得るのに、1,000の手間をかけるようなものだ。人間にとって食事は大切なもので、あまり効率化すべきでないとしても、冷凍食品や大量加工が当たり前の現代で気にしても意味がない。

 ソイレントは人類を救うか?
 それとも人間の尊厳をさらに奪うか?

 未来への動きは止められない。彼らでなくても、誰かがやるだろう。

「ソイレントはヒューマン・フリーです」

 と、開発者はコメントしている。SFファンなら苦笑するところだ。1973年の映画『ソイレント・グリーン』に登場する同名の合成食品が、なにを原料にしているか、もうおわかりですね。

 食糧問題を解決する食品に、ソイレントと名付けるセンスがたまらない。なぜならソイレントの本質は、食料を必要とする人間を解決するものだから。

 日本で発売されたら、私も2週間ほど試してみたい。

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