日記  2015年04月08日(水) に思った 娯楽 のこと

「バリアントハート」の大東亜戦争Ver.を見たい

「バリアントハート」の大東亜戦争Ver.を見たい

 「バリアント ハート ザ グレイト ウォー」というゲームが興味深かった。

 第一次世界大戦のヨーロッパを舞台にした2Dパズルアドベンチャー。PS3、iOS、Android版がリリースされている。iOS版はエピソード1のみ無料配信されているので、どんなものかすぐ試せる。ただ、iPhoneでプレイすると画面が小さかったので、できるならiPadなどのタブレット端末の方がいい。
 ちなみにタイトルにある「Great War」(大戦争)は、第二次世界大戦が勃発する以前の第一次世界大戦の呼び名だ。

 立場が異なる4人の男女と1匹の犬が、互いに助けあいながら、戦乱の時代を生き延びる。戦争を題材にしているが、メインキャラクターは銃をもたない。塹壕を掘ったり、鉄条網を切ったり、けが人を手当したり、あるいは戦場から逃げることが、「彼らの戦い」になる。


※言語にたよらない表現がいい

 ゲーム内の風景や障害は、絵本のようにデフォルメされているが、日付や地理、戦場の様子は史実に基づいている。 兵士たちはどのように戦場に放り込まれ、どのように戦ったか? 機関銃や毒ガス、飛行船、戦車などの先進兵器は、戦争をどう変えたか?
 ゲームの進行に応じて当時の資料や写真を見られるから、いきなり戦争に放り込まれた人々の不安や怖れが伝わってくる。教科書より何倍もわかりやすい。


※戦場に出るということ

 衝撃的だったのは老農夫(エミール)の初戦。
 わけのわからぬままクリュスタに連れて来られ、上官に命じられるまま突撃する。迫撃砲で上官が死んでも突撃は止まらず(命令する人がいない)、次々と味方が死んでいく中、ひたすら走って、走って、走って、気が付くとドイツ軍の機関銃の前......。

 こんなの、どうすりゃいいの?

 かつて戦場には英雄がいたが、近代戦は駄目だ。個人の力量じゃどうにもならん。兵士たちの命運を握っているのは上官であり、軍隊であり、国家なわけだが、なんのために戦っているのかわからない。
 戦争は本当に怖い。
 平和は尊いとか、人を殺すのはヨクナイといった観念的なものじゃなく、大多数の人々が、自分の明日を自分で決められない状況がヤバイ。


※セールが終わったところ

恨みつらみを超えて

 「バリアントハート」をアメリカで制作されたが、フランスの組織が取材協力している。なのでゲームの大部分はフランス人の視点で描かれるが、ドイツ帝国への憎しみは希薄だ。フランス共和国もドイツ帝国も、軍人はおしなべて傲慢だが、軍人の無能を許容している戦争の元凶は目に見えない。だから戦争というより、狂気の災害と戦っているような印象を受ける。

 開戦から100年しか経ってないことを思うと、驚嘆すべき冷静さだ。

 私は「バリアントハート」の、大東亜戦争Ver.を見たい。日本人が徴兵され、戦地に投入され、飢えて、壊滅していくさまを、ゲームとして学びたい。......だけどムリだろうなぁ。日本は戦争に負けたから、戦争について学ぶ自由がない。日本人は馬鹿で、残酷で、強欲だったと思いたい人たちの声が、あまりに大きい。反動として、戦争を美化する動きが強まっているわけで、気持ちが暗くなる。
 歴史を冷静に振り返ることは難しいが、できないと愚行を繰り返してしまう。

 約3700万人もの犠牲者を出した第一次世界大戦を、ゲームとして振り返る──。
 その精神性の高さに驚嘆するが、それでも同じ要領で第二次世界大戦を描くことは難しいかもしれない。そのくらい、戦争という怪物と向き合うことは難しい。

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