日記  2015年09月21日(月) に思った 科技 のこと

理想の女性との会話を擬似的に楽しむサービス

理想の女性との会話を擬似的に楽しむサービス

 カナダの不倫サイトで、女性会員のほとんどが会話ロボットだったことが暴露された。

  • 『アシュレイ・マディソン(Ashley Madison)』は、カナダの不倫相手募集サイト(既婚者向けの出会い系サイト)。2001年設立。52カ国に4126万人以上の会員がいる。日本語サイトもある。
  • 不倫を推奨するビジネスのため、批判が多い。
  • 2015年、サイトの閉鎖を求めるハッカー集団がユーザー情報3,200万人分を漏洩させた。このとき、女性アカウントのほとんどが会話ロボットだったことが判明した。実在する女性アカウントはわずか数千人だったという。
  • アシュレイ・マディソンは会員同士の会話でクレジットを徴収する。チャットは従量制で、長引くほどクレジットがかさむ。たいてい男性会員が支払うため、魅力的な女性会員をたくさん集めることがビジネスの核だった。
  • アシュレイ・マディソンは外部の人間に偽のプロフィール作成などを委託していたが、2002年ごろからプロフィールの作成やメッセージ送付、チャット対応を自動処理するプログラムを開発した。会話ロボットは、「いつまでも会ってくれない浮気願望がある魅力的な女性」を演じ、多くの男性会員をとりこにした。
  • アシュレイ・マディソンは現在も運営中である。

 このニュース最大のショックは、サイトがつぶれなかったことだ。
 まぁ、集団訴訟が起こったから、これからどうなるかわからないけど。もしサイトが継続したら、これは「不倫相手を探すサービス」ではなく、「理想の女性との会話を擬似的に楽しむサービス」と言える。最初からそう銘打っていれば、訴訟になることも、自殺者が出ることもなかった。

「理想の女性との会話を擬似的に楽しむサービス」は成立するか?

 宝くじと同じで、絶対当たらない(絶対出会えない)とわかっていても、当たるかもしれない(会えるかもしれない)という夢を買っているなら、成立しない。しかし日本には千年の変態文化がある。アニメや小説、ゲームのキャラクターと会話できるなら、お金を払うという人は多いだろう。

 SofTalkやボーカロイド、カーナビゲーションなど、音声読み上げ機能は格段に進歩したし、Siriのような音声入力も普及した。ロボットとの会話は、すでに実現されている技術だ。

 会話ロボットの受け答えは、最初は珍妙で、的外れで、そっけないだろうが、オープンソース化して、楽しい会話のコツをみんなで伝授すれば、あっという間に進化しそう。
 意表をつく回答、ちょっとした雑学、関連情報の検索、相手の反応を待つ間などが洗練されれば、人間以上に人間らしい会話相手になる。
 むしろ人間のほうが、会話ロボットから「会話のコツ」を学ぶ時代になるかもしれない。

「異性との会話」は、あんがい手頃な目標かもしれない

 「ロボットがうまく会話できるものか!」という意見もあるだろうが、だったら「人間はうまく会話できるのか?」と問うてみたい。

 会話は難易度の高いスキルであり、万人が習熟しているわけじゃない。まして異性と会話となれば、だれもが受け答えがおかしくなる。相手がおかしなことを言っても、驚いたり、戸惑ったり、悩んだりすることが醍醐味になる。
 会話ロボットがチューリング・テストに合格する日は、けっこう近そうだ。

チューリング・テスト
  • ある機械が知的かどうか(人工知能であるかどうか)を判定するためのテスト。
  • 人間の判定者が機械と人間の双方と会話して、どちらが人間か区別できなかった場合、合格となる。
  • 2014年、ロシアのスーパーコンピューターが史上初の合格者となった。

 たとえば恋愛経験の乏しい高校生は、会話ロボットと人間の女性を区別できるだろうか?
 区別できたとして、どちらが魅力的に感じるだろうか?
 アシュレイ・マディソンの男性会員は既婚者ばかりなのに、会話ロボットを見抜けなかった。

 アニメやゲームの異性は、現実よりはるかに魅力的だ。そんな相手と会話したら、不自然に思うだろうか? これこそ理想的と思うだろうか?

 果たして人間は、人間らしい会話ができているだろうか?

 ニュースを見て、そんなことを考えた。

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