TVアニメ 銀英伝
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キノの旅 -the Beautiful World- 病気の国 -For You-

Kino's Journey -The Beautiful World- The Land of Sickness -For You-

ようやく世界観が見えてきた

劇場版『何かをするために』の次に鑑賞。ようやく楽しみ方がわかってきた。つまり『ニルスのふしぎな旅』や『銀河鉄道999』のような物語なんだな。

映像クオリティは高く、気持ちよく鑑賞できる。しかしストーリーは今ひとつわかりにくい。あえて明確な表現を避けた部分が、解釈をややこしくしている。

まぁ、この“もどかしさ”が、本作品の特長なのかもしれない。

パプリカ

Paprika

地に足をつけて混乱したかった

夢という曖昧なものを扱うのだから、状況は緻密に描いてほしかった。私の理解力不足もあるが、「夢探偵」の役割や「DCミニ」の機能、登場人物の思惑がつかめず、むやみに混乱してしまった。夢のイメージは素晴らしいので、ふわふわした認識で見たのはもったいなかった。小説や漫画も読んでみよう。

夢であるパプリカはともかく、現実の千葉敦子も美女であることに驚く。その美女が巨漢デブに恋するのだから、どっちが夢だかわからない。時田は敦子をどう見てるんだろう? 敦子は時田にダイエットを望むだろうか? この2人の関係にすごく興味をひかれた。粉川のトラウマなんか、どうでもいいよ。

設定がおもしろそうなので、シリーズ化してほしい作品だ。

劇場版 遙かなる時空の中で 舞一夜

Harukanaru Toki no Naka de ~Maihitoyo~ (movie)

そんなに寂しいのかね?

ゲームを知らず、TVシリーズも見ていないので、世界に入っていけなかった。どういう状況なんだろう? もうちょっと説明してほしかった。

それはそれとして、いつまでもウジウジ悩む主人公がうざい。名前を呼ばれただけでホイホイ好きになってどうする? 相手が怨霊でも見境なしですか? まぁ、霊体=邪悪=即退散とする思考法も好きになれない。『陰陽師』のような曖昧さが欲しかったかな。

ファンサービスの劇場版だったみたいなので、ちらっと見てわかるはずもなかったか。

ゲド戦記

Tales from Earthsea

おもしろくも、つまらなくもない

原作は読んでないけど、こんなものなの? 中盤と思っていたら、クモを倒して終わってしまった。なんの伏線もない超常パワーによる武力解決なんてインチキすぎる。アレンが父親を殺した経緯とか、クモが犯した禁忌とかの映像がないのも不可解。なんなんですかね、これは?

宮崎アニメのパーツをふんだんに使っているのに、ぜんぜんおもしろくない。かといって、「わけわかんねー!」と怒る気持ちもない。どうでもいい。怒るだけの愛着が湧かないのだ。

物語はともかく、物語に関係ない部分は不愉快だった。
ジブリの世代交代とか、「テルーの唄」の劇中宣伝、「命を大切に」というありきたりなテーマの採用は、売るための工作でしかない。

ジブリは商売意識が強くなりすぎた。
「アースシー」と同じように、均衡が崩れつつあるようだ。

時をかける少女

The Girl Who Leapt Through Time

なぜセカイの枠を飛び越えなかったのか?

おもしろかった。せっかくの超能力(タイムリープ)を、くだらない欲求消化や恋愛の現状維持に浪費していくさまがすごい。ここまで馬鹿な使い方は、かえって思いつけない。パワーの無駄遣いこそ、青春の証しか。
それと前作の主人公(和子)がさりげなく、しかし存在感のある役で出ているところもしびれる。叶わぬまでも求婚を申し出たい。

不満なのは、真琴が和子と同じ轍(てつ)を踏んでしまったこと。
和子は未来を待った。ならば真琴には、未来を追いかけてほしかった。なぜ現在を捨て、未来に飛び出さなかったのか? 恋のために無謀なチャレンジをすることも、青春の証しではなかったか。

最後の最後で期待と外れてしまったが、全体的には好き。
このモヤモヤした割り切れなさこそが、『時をかける少女』であることを雄弁に物語っている。つまり、これは続編ではなく、焼き直しだと思う。

ブレイブ ストーリー

Brave Story

ファンタジーで現実は解決しない

話題の作品なので期待してみたけど、あんまり感動できなかった。
身を切るような対価を払うミツルの利己主義に比べると、ワタルの博愛主義は薄っぺらで、説得力がない。家庭崩壊したわりには、いい子ちゃんすぎる。

ファンタジー世界(幻界=ヴィジョン)がゲームっぽいのは、子どもの想像力が乏しいゆえだろうか。なんだか、すべてはワタルの妄想だったような気がする。現実のワタルは布団の中で丸まったまま、ミツルとも友だちになれず、都合のいい夢を見ているだけじゃないのか?

『銀河鉄道の夜』のようなリアルさがほしいと思った。

(映画) ドラえもん のび太の恐竜 2006

Doraemon: Nobita no kyoryu

感動は時代を超えて

21世紀になって、のび太たちの一途さは時代に合わなくなっただろうな、と思ってた。声優が変わって、映像がダイナミックになって、空虚な感じがするんだろうな、と思っていた。
だが、それは杞憂だった。
よいものは、やはりよかった。

抑揚を抑えたエンディングが胸に響く。
不覚にもホロリと泣けてしまった。

真救世主伝説 北斗の拳 ラオウ伝 殉愛の章

Fist of the North Star - The Legend of Raoh: Martyred Love Arc

なにもかも駄目

うはぁ、ひどい。
半端なオリジナルキャラで世界観はぶち壊し。そのくせ展開は原作のままで退屈。そもそも「ラオウ伝」と称してケンシロウ vs サウザーを描くのは詐欺じゃないか。俳優に声をあてさせたのも大失敗。イメージと合わないだけでなく、聞き取りにくい。

80年代でさえ陳腐だったストーリーをそのまま再現するとは芸がない。
これじゃ、なんのためにリメイクしたのかわからない。

Dr.ピノコの森の冒険

Dr. Pinoko no Mori no Bouken

すっかりディズニーと化した手塚ワールド

あまりにも善良な世界なので、目が回ってしまった。ピノコの夢に目くじら立てても仕方ないが、ちょっとやり過ぎのような。ラルゴに向かって「あんた、死んだじゃなかったの?」と言うくらいの毒はあってもよかった。
ディズニーと同じ路線を目指しても勝ち目はないので、べつのアプローチを期待したい。ユニコの声が浮いていたが、手塚治虫の娘である手塚るみ子さんが声を当てていたのか。なるほどね。

ブラック・ジャック ふたりの黒い医者

Black Jack: The Two Doctors Of Darkness

ツギハギだらけで、いのちのない劇場版

複数の短編をつなぎ合わせるのはいいけど、ドラマとして活きてない。これじゃ献体された原作も浮かばれん。ドクター・キリコを主題に据えるなら、キリコの短編をつなぎ合わせればいいのに。キリコは殺人鬼ではないが、ヒーローでもない。ブラックジャックと協力して患者を救うエピソードは白眉だった。この映画に出てくるキリコには、そうした奥行きがなく、共感できない。
声優もひどい。とりわけロックがひどい。役者を声優に起用するのはいいけど、どうにかならなかったのかね。

なんで短編のツギハギなんかしたのだろう。オリジナル脚本で反感を買うのを恐れたのか? いずれにせよ、この脚本は失敗だったと思う。

劇場版 AIR

AIR: The Movie

演出が空回りしてるよ

監督は映画を制作するにあたって、ゲームをプレイしたと思うが、どのような印象をもったのだろう? 私と同じように、萌えるとか泣ける以前に、不可解に思ったのかもしれない。それで、自分なりに再解釈して、筋が通るものにしようと努力したが、大幅に変えることはできないので、中途半端な出来になってしまった。そんな感じの脚本だった。

それはそれとして、演出の迫力はすごいね。
中途半端なところで、すさまじい演出がかかるから面食らってしまうよ。作画枚数や制作期間に制限があったのだろうか? いくらなんでもやりすぎだよ。

演出は疑問だが、うまくまとめたと思う。
メインターゲットの方々(ファン)には、どう評価されたんだろう?

あらしのよるに

Stormy Night

オオカミばかり苦労している

喰われる立場のヤギは気楽でいいよね。わがままで、正論ばかり。オオカミの飢えを満たすため、仲間を生け贄にするくらいの覚悟を見せてほしかった。

『ロミオとジュリエット』を彷彿させる構図だが、愛情ではなく友情、安易な死より苦難の生を選んだところが新鮮。ダイナミックな背景描写も痛快だし、最後まで飽きずに見ることができた。

現実の人間社会に置き換えてみるのは、やや難しい。しかしいろんな選択と展開があり得る状況なので、自分ならどうするか、どうすれば幸せになれたかを考えてみるのは楽しかった。

キノの旅 何かをするために -life goes on.-

Kino's Journey - Life Goes On

“私”はどこへ行ったの?

原作も、TVシリーズも知らずに見たので、状況がわからない。初代キノも気になるが、そもそも主人公が謎すぎる。
「いまは、ぼくがキノだ!」と割り切ったのはいいが、その代わり「私」を失ってしまった。語り手の正体が明らかでないため、なにが正常でなにが異常かが判別しにくい。中盤あたりまで、バイクがしゃべっていることに気づかなかった。

今回の教訓は、「師匠」はとても危険な人物だと言うこと。ああいうところへ行かせるなら、ひと言あってもいいだろうに。死んだらどうする? というか、殺すつもりだったんじゃないのか? こんな人に心を許しちゃ駄目だぞ、キノ!

興味がわいてきたので、ほかのエピソードも見てみようと思う。

イノセンス

Innocence: Ghost in the Shell 2

押井守の悪いところが噴出してしまった

2つの不満がある。
1つ目は、CGを使いすぎ。
『攻殻機動隊』までは味付け程度だったのに、本作ではクドいほど前面に押し出されている。あまりにも品がない。

2つ目は、禅問答しすぎ。
登場人物全員が、引用句で語っている。禅問答は好きだけど、これじゃわけがわからないよ。

雰囲気やプロットが素晴らしいだけに惜しまれる。
繰り返し見て楽しめるのは事実だが、解説字幕が欲しい。士郎正宗の漫画のように、びっしり書き込まれた字幕があれば、1フレームずつコマ送りして楽しめそうだ。

スチームボーイ

An Adventure Story of Steamboy

祖父と父のヤリトリは、まんま大友監督に言える

父「これからは映像技術の時代だ。素晴らしい映像技術は、映画を豊かにする。たとえこの映画が失敗しても、映像技術を見た世界は震撼するだろう!」
祖父「いや、それはちがう。映像技術だけが先走ってはいかんのじゃ~!」
私は祖父の意見に賛成。技術だけの映画はむなしいよ。

テーマも設定もおもしろかったのに残念だ。
どえらい金をかけた実験映像でしかなかった。

アップルシード

APPLESEED

古き良き時代のニホイがあるね

ゲームっぽい背景やキャラは驚くものの、まぁ慣れる。それより舞台やメカの設定に戸惑った。見た目は最先端だけど、中身は80年代のSF同人誌の雰囲気を残している。それは心地よくもあり、惜しくもあった。

物語としては高く評価できないが、実験映像としてはおもしろかった。
この映画が次世代アニメの母になるのだろうか?

ハウルの動く城

Howl's Moving Castle

宮崎アニメのよさが失われた作品

いろいろ解釈することはできるけど、そうした努力なしに楽しめないのは残念。宮崎アニメのよさは、重厚なテーマを取り扱いつつも、わかりやすい演出に徹したことだった。その意味では、これは私の知る宮崎アニメではない。

宮崎アニメという枠を外してみても、まだ好きになれない。
とりあえずハッピーエンドなので、あれこれ脳内補完する気になれないのだ。個人が戦争をどうにかできてしまう世界では、なにを考えても無意味だと思う。

シリアスかメルヘンか、どっちかにしてほしかった。

東京ゴッドファーザーズ

Tokyo Godfathers

アニメでやる話じゃない

よくできてるとは思うんだけど、アニメにした理由がわからない。この脚本なら低予算で実写撮影できただろうに。
アニメは現実より都合がいい世界を作れる。そんなアニメで、都合が悪い現実を描くのだから、なんだか矛盾している気がする。

ラストで、とつぜん都合がいい世界になるのも疑問。
では、これまでの地道な積み重ねはなんだったのか?

悪い意味で、いいとこ取りだった気がする。

猫の恩返し

The Cat Returns

先人のあとを追うな、先人が求めたものを求めよ

ジブリの世代交代を推進するための作品らしいね。
まぁ、失敗だ。それも、ハッキリわかる失敗だ。
ジブリ要素をたっぷり使っているだけに、足りなさが目立つ。
ツボを外しています。

「あんがい悪くもないよ」と言いたいところだが、世代交代の話を聞いて、評価を辛くした。
森田宏幸監督には、継承ではなく、新規開拓を目指してほしい。
※偉そうなこと言って、申し訳ない。

あと、同時上映の『ギブリーズ』だが、映像技術はスゴイけど物語性がないので評価できず。
実験映像で金を取るなと言いたい。
※率直に、そう思った。

機動警察パトレイバー3 WXIII

Patlabor WXIII

クオリティは高いんだけど、どうにも魅力がない

レイバーや第2小隊が脇役であることや、悲劇的なストーリーに異論はない。
しかし「ロボットが一般化した近未来社会を描く」という根っこが失われているのはどうかと思う。誰もが指摘することだが、パトレイバー世界でやる意義が本当にない。むしろ、違和感さえ感じられる。

そして、物語もストレートすぎる。
淡々と進んでいくので、感情移入させてもらえない。荒唐無稽な『1』や『2』よりも、はるかに現実感が乏しい。どこか他人事のような雰囲気だ。

「怪獣映画」として観ても、やっぱり物足りなさは否めない。

エクスドライバー the Movie

eX-D: the Movie

ますます魅力が失われた

もともとキャラやドラマが弱かったシリーズだが、劇場版でもおもしろい展開はない。新しいキャラもステレオタイプばかりで、見るべき点がない。その上、クルマがすべてCGになり、背景から浮いてしまった。チャレンジ精神は買うけど、ポリゴンミニカーのチェイスじゃ燃えないぜ。

クルマ好きでないと、このシリーズはつらいようだ。

千と千尋の神隠し

Spirited Away

なにやら寓話的になってきたね

世界中が騒いでいるので、むしろ覚めた目で鑑賞したのだが、あんがい面白かった。といっても、ストレートな面白さじゃない。隠された意味、暗示するものを考える楽しみがある。

しかも描かれているテーマは、けっこうグロテスクだ。
勧善懲悪や自然保護といった万人受けするものではない。どちらかといえば、目を逸らしたい暗部をえぐっている。生臭い臓物のような素材を食べやすく調理した腕前は、ほんとうに見事だと思う。

この映画は、映画館で見ることより、その意味について友人や親子で話し合うことが楽しい作品かもしれないね。

メトロポリス

Metropolis

絵はスゴイ。話はイマイチ。手塚作品の魂はいずこへ?

まず、感情論から語る。
手塚治虫先生のタッチを、レトロ調として扱われることには抵抗がある。先生はつねに、最新の表現技術を追求してきた。手塚作品の魅力は、表面的な絵柄ではなく、ストーリーや工夫された演出にある。先生がご存命なら、きっと思いもよらぬ演出をされただろう。
絵柄だけを抜き出して、薄っぺらな演出がなされた本作に、手塚作品の魂はない。あしざまに言えば、表現技術の鑑賞ビデオだと思う。

・・・とはいえ、試みとしてはおもしろかった。
緻密な背景描写と、手塚タッチ(シンプルなデザイン)は、相性バッチリだった。キャラクターが世界に埋没せず、その動きを自然に追うことができた。
それだけに惜しまれる。
舞台と役者は揃っていたのに、演出が駄目だった。

手塚作品の後を追わず、先生が求めたものを求めて欲しい。

あずまんが大王 【劇場版】

Azumanga Daioh - The Very Short Movie

これだけ見て、どないせーちゅーんじゃ?

TVシリーズのあとで見たけど、劇場版の方が先だったのね。わずか6分の尺に、まさか大阪の夢を詰め込むとは。ちよちゃんの声はいつもより強烈だし、初めて見た人はどう思っただろう? まぁ、どのエピソードだったらよいとも言えないので、これはこれでアリか。

TVシリーズのあとに見てよかった。

バンパイアハンターD 【劇場版】

Vampire Hunter D [Movie]

映像は素晴らしい! 物語はちょっと不満かな

原作をそのまま映像化するのではなく、独自のアレンジを加えてあるんだけど、そこがどうにも中途半端。「新解釈の方がイイ!」と思えるレベルに達していない。
昔、朝日ソノラマから『D-妖殺行-』のカセット文庫が出ていたんだけど、物語の構成としてはこっちに軍配が上がるね。

しかし映像の美しさは突出している。
建造物や風景、キャラデザイン、アクションなど、原作の雰囲気を損なうことなく、より高いレベルに昇華させている。シーンごとの緊張感、興奮も素晴らしい。
それだけに、物語の半端さが惜しまれてならない。やはりエンディングは原作の方が・・・。

原作を知らない人には、これはこれでいいのかもしれないけどね。

【劇場版】 カウボーイビバップ 天国の扉

COWBOY BEBOP / Knockin' on Heaven's Door

ちょっと長いTVシリーズ。劇場版の意味を問いたい

シャレてるし、よく動くし、カッコイイとは思う。
でも、内容的にはTVシリーズと大差はない。
3話くらいを連続上映しているだけだ。

やはり劇場版なのだから、劇場版ならではのスケールが欲しい。
それに、TVシリーズが(ああいう形で)終わったあとなのだから、それなりに意義のある話を見たいよ。ストーリーが始まる前と終わった後で、メンバーの関係になんの変化もないなんて、どうかしている。
※実際、#22と#23のあいだに入る話らしいけどね。

なんか、危うい均衡を崩さずに済ませた感じがする。
「いいお友達でいましょう」ではなく、一歩踏み込んで欲しかった

千年女優

Chiyoko Millennial Actress

“飾り”がやや派手すぎた

夢と現実、回想と映画がごっちゃになる入れ子構造はおもしろいものの、ストーリーには“飾り”でしかない。“飾り”に目を奪われると、ラストは物足りない。“飾り”は不要とは言わないが、やや派手すぎちゃった気がする。

あのくらい派手な飾りがあると、ストーリーにもひねりがほしい。千代子が統合失調症にかかっているとか、鍵の君が殺されているとかね。そうすると、ラストの爽快感も失われるので、難しいところか・・・。

人狼 JIN-ROH

JIN-ROH

父母の物語だと思ってみると、感慨もひとしお。

主人公・伏が切なすぎる。
ヒーローになれない男。与えられた役割をこなすだけ。
しかし迷いも甘さもある。非情に徹しきれない。優しさに殉じることもできない。
ハッキリいえば情けない男なのだが、不憫でならない。
頭をなでる大きな手があれば、スポーツ選手として喝采を浴びていたかもしれないのに。
・・・不思議な憐憫を感じさせる。

とはいえ、これこそがリアルとも言える。
純粋な悪や正義などなく、半端な者たちが、その場その場に反応して生きていくだけ。その結果に、勝者と敗者、そして犠牲者がいる。

──昭和初期。
伏はたぶん、父や母と同じくらいの年齢だ。父や母は、この時代に生きていたのだ。
そう思ってみると、また奇妙な感覚に襲われる。
現実はいつも、遠い異国の物語のように感じるのかもしれない。

BLOOD THE LAST VAMPIRE

Blood: The Last Vampire

これは第1話、これはパイロットフィルムだと信じたい

大した物語ではない。謎解きも意外性もない。ラストもあっさりしたもんだ。
──なのに魅せられる。
セーラー服に、日本刀をもった、美少女ヴァンパイア!
この組み合わせだけに、まずノックアウトされる。たまりませんよ!!
昭和初期という時代設定も、在日米軍にスポットを当てているのもいいね。 寺田克也のキャラクターがまた渋い。アニメらしからぬ生々しさと迫力がある。 工藤夕貴の声もいい。甘ったるさがない。スーパーマッチですよ。 そして映像表現。ここまでの臨場感を演出できるのかと、驚嘆させられた。

物語をのぞく、すべての要素が高いレベルで融合している。 これはそう、パイロットフィルムのようだ。『BLOOD』というシリーズものの企画があるんだろう。

「いいよ! これ、素晴らしいよ!
 小夜はなぜ吸血鬼を狩るんだ? 彼女の正体は?
 やりたまえ! 素晴らしいシリーズを作ってくれたまえ!」

あぁ、これで終わりなんていやだぁ。
もっと観たい。観たいよぉ!

※それとスタッフロールに使われた『寺田フォント』も欲しい。

劇場版 エスカフローネ

Escaflowne: The Movie

画面の密度は高いが、内容的には・・・

ストーリーはうまくまとまっているけど、重いところというか、手応えがない。バァンには人間性が、ひとみには主体性が感じられず、物語の展開も、ただの土砂流を見ているような気分だった。ラストも淡泊。

しかし絵はすごい。よく描き込まれていて、よく動く。生物兵器の操縦はひたすら痛そうで、強い印象を残した。

私はTVシリーズを見ておらず、劇場版を作るにあたってどこをどう変えたかは知らないが、時間が足りてないね。世界を描かずにファンタジーは成立しないと思った。

少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録

Revolutionary Girl Utena / Adolescence of Utena

精神病院の患者が見る、夢の世界だろうか?

とても現実世界の話とは思えない。TV版よりぶっとんだ雰囲気。
「私立・鳳学園」とは、姫宮アンシーが見ている夢の世界なのかもしれない。ほかの生徒たちは、この夢を共有しているか、この夢に囚われているような印象を受ける。

──そう考えると、すべてが理解できる。
兄に陵辱されたショックで精神崩壊したアンシーは、「兄に代わる王子さま」を求めていた。そしてウテナが選ばれるが、ウテナは代理を拒否する。
「外の世界」とは、「いっしょに夢から目覚めること」なのか?

・・・これは私の妄想に過ぎない。
だが妄想であっても、心が揺れたことは事実なので、高得点とする。

ふつーに見たら、「わけわかんねー」で終わりだと思う。

スプリガン -SPRIGGAN-

SPRIGGAN [Movie]

監督は原作を読んでいるのだろうか?

なんで『ノアの箱船編』なのか? なんでジャンは獣人化しないのか? アニメなら、劇場版なら、もっとやりようがあっただろうに。あまりにも平淡なラストには、衝撃さえ覚えた。
スプリガンの魅力がちっとも出ていないのは残念でならない。

ただ、「戦って、死ね!」というコピーには興奮した。
予告編を観たときの興奮と期待感は忘れずにしまっておこう。

機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness- 【劇場版】

Martian Successor Nadesico: The Prince of Darkness [Movie]

ギャグとシリアスの切り替えについていけない

TV版も全部見たけど、このノリにはいまいち乗れない。
その違和感は、この劇場版の方がずっと強い。甘ったるい萌えシーンと、生々しい残酷なシーンが交錯するので、めまいを起こしそうになる。
『ナデシコ』には、どことなくグロテスクな印象がある。

それでも、戦闘シーンは興奮するし、音楽もいい。「過去とどう向き合うか」というテーマ性も感じられる。後味の悪さはTV版と大差ないが、簡潔な分だけ劇場版の方がよいと言えるかもしれない。
結局、主人公に永遠のお別れをいうために作られた映画のように見える。

新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に

The End of Evangelion Air / A Pure Heart for You

私は好きになれない

まるっきり駄目だというつもりはない。
期待に胸をふくらませ、夏の暑いさなかに映画館で観てきた男の率直な感想として、好きになれないのだ。

やたらと性的な関係が暗示されるが、どうにも釈然としない。シンジやミサト、アスカ、レイ、リツコの、「これが本性だ」と言われればそれまでだが、これまでの流れからすると違和感を覚える。嫌悪感さえある。
なんとなくテーマっぽいものも見えるが、グロテスクな印象を受ける。

私は好きになれない。
それ以上は語りにくい作品である。

【劇場版】 ブラック・ジャック

Black Jack The Movie

ある意味、かっこよすぎるブラック・ジャック

スケールが大きく、テーマ性も高い。設定もよく考えられている。
ブラック・ジャックの声がぴったりで、その叫びは胸に響く。
出崎統監督の止め絵表現も、冴えに冴えまくっている。

しかしなんというか、私の知っているBJに比べると、かっこよすぎる。
マンガのBJは、ずっこけたり、落ち込んだり、ぺしゃんこにされることもある。そんなユーモラスな魅力が、この劇場版ではスポイルされている。

非の打ち所がないところが気に入らない。
そう思うのは、わがままだろうか。

新世紀エヴァンゲリオン 劇場版 シト新生

Neon Genesis Evangelion: Death & Rebirth

時系列バラバラのダイジェストカット集

総集編ではない。TVシリーズ1~24話を全部見てないと理解できないし、そういう人は今さら見る意味もない。所見の人にもエヴァの魅力を伝えられる総集編を期待していたが、叶わなかった。
それにつけてもエレベータでの沈黙や、カヲルを握りつぶすまでの沈黙まで再利用するとは・・・。本当に余裕がなかったんだな。

主人公たちがカルテットを組み、演奏しながら過去を振り返るという演出にも違和感がある。TVシリーズのどこにも当てはまらないし、キャラが独り歩きしている。

この時点で、ヤバイと気づくべきだった。

ルパン三世 DEAD OR ALIVE

Lupin III: Dead or Alive

ルパンは泥棒じゃなかったのか?

モンキーパンチ本人が監督しているので、原作マンガのようにダークなルパンが見られるかと思ったが、そういう路線ではなかった。いろいろ仕掛けはあるものの、財宝より人助けに精を出すルパンは、もはや泥棒とは言えないね。こうなると、生活背景のないルパンは薄っぺらに見える。

ストーリーは妙に複雑で、わかりにくい。またSF要素もやり過ぎ。時代設定がわからないよ。

代役ルパン(栗田貫一)の声は似ているものの、違和感がある。これなら暫定ルパン(古川登志夫)の方がよかった気もするが、今となっては考えても詮無きこと。もうルパンのイメージは完全に固まって、誰にも変えることはできないのだ。

耳をすませば

Whisper of the Heart

リアルな世界で展開する、リアルじゃない物語

そして、その印象は好ましくない。
この映画はなぜ、リアルさにこだわったのだろう?
団地や街なかの雰囲気を細かく再現したのは、なんのため?
ヒロイン(雫)の夢である小説描写を、暗示しているのだろうか。

背景はリアルなのに、人物や物語はファンタジー。
これだとむしろ、自分たちがいる現実との違いを思い知らされる。
(あんなこと、現実世界では起こらないよ!)
そう思うと、なんだか哀しい気持ちになる。

このネタに、このリアルさは毒だ。
最初は好感がもてたけど、繰り返し観るとイヤになってくる。

この気持ち、わかってもらえるだろうか?

メモリーズ MEMORIES

Memories: Magnetic Rose/ Stink Bomb/ Cannon Fodder

全体をつらぬくテーマがないのは残念

3本の短編からなるオムニバス構成なのだが、全体をつらぬくテーマが見えない。そのため、1本ごとに評価するしかなく、結果として総評を下げていると思う。
このあたりは、企画時点の失敗だと思う。

●第1話:彼女の想いで
本格的なSFなのは嬉しい。設定、展開、絵柄もよい。しかしいまいち感情移入できなかった。「思い出は逃げ込む場所じゃない!」というセリフもどこか空虚。エヴァに対して、ハインツがそれほど割り切れているようには見えない。

●第2話:最臭兵器
けっこう好き。ドタバタ描写は緻密で、スピード感がある。
ラストはまぁ、悪くないと言ったところ。

●第3話:大砲の街
1カット・1シーンで表現する試みはおもしろい。
しかし実験映像の域を出ていない。

うーん。
やっぱりチグハグな印象がするね。

攻殻機動隊 Ghost in the Shell

Ghost in the Shell

映画館を出てから楽しめる映画

正直、劇場を出たときはわけがわからなかった。
しかし漫画を読んで、情報を集めて、DVDを買って、よく考えてみると、ぐっと楽しめるようになった。

そもそも「電脳」がわかってなかった。
サイボーグといったらふつう「脳ミソ以外は機械」なのに、この世界では「脳ミソまで機械」、もしくは「脳ミソだけ機械」なのね。それゆえ、人間と機械を分ける新しい概念として「ゴースト」が定義された。
これがわかったときのインパクトは大きかった。

通常、こういう予備知識を必要とする映画はきらいだ。
しかし、予備知識を得てしまった以上は、好きになってしまう。
その意味でも、じつに不思議な映画だと思う。

ジブリ実験劇場 On Your Mark

On Your Mark

マルチエンディングの6分間

非常に印象深いフィルムだ。『耳をすませば』の上映前に公開されたらしいけど、こんなのを流されちゃ本編も形無しだ。セリフもなければ説明もない。それどころか、複数の解釈が成り立つところがすごい。果たして少女は善か悪か? 警官2名は助かったのか? そして都市の外はどうなっていたのか? 希望と絶望のどちらを見いだすかは、それこそ観客次第なのだ。

原作も監督も宮崎駿になっているが、こんな作品を作れるとは思わなかった。押井守との合作だと言われても信じたと思う。そのくらい斬新だった。今後、ジブリはこういう作品を作っていくのかと期待と不安に胸を踊らせたが、このテイストは本作だけだった。

わずか数分間の映像でも、こんなことができるんだね。おもしろかったよ。