| その他 | 4ツ星 |
ARIA The ORIGINATION 【第3期・全13話】
少女たちの成長が描かれた完結編
第2期は不思議時空が強すぎて、いささか距離を置いてしまったが、第3期は少女たちの成長に向き合った良作に仕上がっている。みんな素晴らしいものを秘めていて、長年見守ってきたオジサンとしては別れがつらいよ。『月刊ウンディーネ』で寂しさをまぎらわすしかないな。
お気に入りは、灯里の実力が認められる第4話「その 明日を目指すものたちは…」、そしてクリムゾン・ローズの由来が明かされる第5話「その おもいでのクローバーは…」だな。もちろん第10、11話の藍華もかわいかったし、ラストへの展開もよかった。それはそうと、アリシアさんの○×って、誰なの? すごく気になる。それと成長した灯里は、ちょっと太った? まぁ、それも愛らしいけど(笑)。
なんとなく見始めたARIAシリーズもこれにて終了か。中盤あたりは、その癒し空間にうんざりしたけど、最後まで姿勢がぶれなかったことは素晴らしい。オジサンとして若さを愛でるのもいいが、自分もなにかしなければって気になった。見てよかった。
俗・さよなら絶望先生 【第2期・全13話】
なんというメタコメディ
第1期より脂が乗った第2期。原作の要素をしゃぶりつくしているし、アニメならではの遊び心の満載だ。6話の声優シャッフル、7話の紙芝居やクレイアニメ、9話の『絶望ファイト』、11話の市川崑監督のパロディ…。やばいほど笑える。
お気に入りの歌も多い。ふだんはキャラソンなんて見向きもしないのだが、例外ができてしまった。iPodで持ち歩き、繰り返し聞いてるよ。
内容、演出だけでなく、絵も、声も、歌も素晴らしい。これだけ凝って、ちゃんと採算がとれているのか心配だが、可能なら第3期以降もつづけてほしい。
近年まれに見る、素晴らしいアニメ化だ。
勇者のくせになまいきだ。
意外や意外におもしろい
ビオトープ(生物空間)をテーマにしたゲームとは珍しい。換骨奪胎した『ローグ』というわけか。最初は簡単なのに、行き詰まって悔しくなる。何度もリトライし、いろんな方法を試して、ようやくクリア。ふぅ、こんなに熱くなったのは久しぶりだ。
このゲーム最大の勝利ポイントは、昔のRPGテイストを採用したことだろう。昔のゲームを思えば、この程度の難易度は苦にならない。気の抜けたテーマ曲も、不満を散らしてしまう。
やっぱりアイデア勝負のゲームはいいね。
相棒 Season 6 【全19話】
事件が社会とつながっている
解決したと思っても、それが大きな問題の一部に過ぎず、無関係と思われた事件や社会情勢とつながっていく展開がおもしろい。とりわけ「複眼の法廷」にはじまり、「黙示録」で終わる構成は秀逸。ラストでは「杉下右京の正義感」さえも俎上(そじょう)に載せられていた。なにかが大きく動きそうな予感がたまらない。
各エピソードに目を向けると、やはり「琥珀色の殺人」がいいね。蟹江敬三はいい役もらった。「殺人ワインセラー」の佐野史郎の復活も期待だ。
シーズン4、5、6を見てきて疑問に思うのは、なぜ右京があれほど毛嫌いされているのかだ。過去の失敗に対する報復だけでは、とうてい納得できない。上層部は右京を恐れているのだろうか? シーズン3以前に描かれているのかもしれないが、どうにも気になる。
シーズン7では、事件を追う探偵(右京)そのものが解明されるといいな。
キサラギ
密室推理劇の決定版!
D級アイドル自殺の真相を推理する、面識のない5人の男たち。推理力の優れた者などおらず、ただ5人が揃った偶然によって物語は動き出す。関係なさそうな証言がつながっていき、あの晩に起こった出来事が見えてくるのは痛快だった。傍らで進行する男たちのドラマも涙と笑いを誘う。
ラストで、6人目の証言によって推理が瓦解するのも秀逸。たまたま5人が一堂を介した化学反応によって生まれた推理なら、要素を1つ加えるだけで違った解釈もあり得るのか。なるほど、奥が深い。
エンディングで如月ミキの姿を見ることができるが、その微妙さに戸惑う。そして、熱烈なファンコールを送る男たち。その滑稽さを見て、気づく。これは特別な事件ではなかった。特別な点があるとすれば、ひたむきに愛してくれる人が5人もいたことだろう。
英國戀物語エマ 第二幕 【第2期・全12話】
第1話から、もう目が離せない
原作プロットを活かしつつも、先の読めないオリジナル展開が素晴らしい。
ただ違うのではなく、原作の世界観を広げるよう演出されている。捨てられたエレノアの気持ち、社交界を軽視したことのツケ、ジョーンズ親子の和解、あるいは結婚後の2人……。
最後までキャーキャー騒ぎながら見てしまった。
新キャラ・ナネットがかわいい。ハンスのif解釈も冴えてる。ドロテア奥様が素敵♪ それにミセス・トロロープ、モニカお姉様、ヴィヴィの声がいい。ハキムもいい役をもらってる。抱きつきファンタスティック!と、エマの鼻歌がなかったのは残念だが、それ以上によいものを見させていただいた。
このアニメ化は本当に素晴らしい。
原作ファンにも、そうでない人にも、もっと見てもらいたいね!
攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society
もどかしいけど、おもしろい!
『イノセンス』より大胆に、かつおもしろく描かれた「素子なき9課」。
ふつうの組織になった9課と、単身で組織になろうとした素子。衰退していく現実社会と、乖離した無意識が構築する新しい社会。それぞれの対決と陥穽。
SFというより、未来社会のシミュレーションのようだ。
劇中では、明瞭な“こたえ”は示されない。
ただ、ふつうの9課と特殊な素子が共存できるなら、それが1つの希望になるかもしれない。詰め込まれた情報が多いので、もう少し尺が欲しかったよ。
でも、おもしろかった!
文句を言いながら、繰り返し見てしまうのは、それだけ気に入っているんだろうな。
相棒 Season 5 【全21話】
キャラが見えてきて、さらにおもしろくなった
第4シーズンから見はじめ、話数を重ねたことで、いろんなものが見えてきた。右京と亀山の関係も、なんとなく理解できる。明確に表現されずとも、こうして少しずつ見えてくるのは素晴らしい。シリーズ全体を通して世界観が確立されているからだ。
第7話「剣聖」では伊丹の、第15話「裏切者」では小野田の人柄がちらりと見えてよかった。第13話「Wの悲喜劇」や第17話「女王の宮殿」のように、日常から事件に遭遇するエピソードもいいね。第19話「殺人シネマ」では登場人物たちの掛け合いを大いに楽しんだ。
そして最終話「サザンカの咲く頃」は圧巻だった。
それにしても右京はおもしろい。きわめて理性的なのに、感情を爆発させることがある。心を見透かすように推理しながらも、細かな機微を見落とす。元妻である たまきさんの存在も大きい。これまでなかったタイプの名探偵だね。
地獄少女 二籠 【第2期・全26話】
格段におもしろくなった第2期
第1期は勧善懲悪の様式美だったけど、第2期はちがう。恨みを晴らす行為や、それを執行する地獄少女に疑問を残すエピソードが多い。地獄少女という凶器があるから悲劇が起こるのか、もともとも人間の業だったのか、考えさせられる。
あいも怒ったり、照れたりと愛らしくなった。三藁(三妖怪)の過去も明かされ、親近感が増した。新キャラ・きくりの使い方もうまい。新興住宅地の一連のエピソードは秀逸だった。
第1期しか見てない人は、『地獄少女』の1割しか知らないようなもんだ。
くじびきアンバランス 【全12話】
これが「萌える」ということかッ!
第1期と設定がちがうので戸惑った。しかしアニメ化ではよくある話で、すぐ慣れた。そして萌えた。萌えまくった。
みんな、かわいいなぁ。
ちょっとした仕草──目配せや言葉にならなかった間、迷う指先など──にキャラの深い思いが込められている。雰囲気づくりが強烈にうまい。私たちは表面的な造形より、その心情に萌えているのだとわかる。
そして律子会長にしびれる。
登場シーンは少なく、ほとんどしゃべらず、動かないのに、この震えはなんだ? 奇妙に見えたヘルメットが、神々しく見えてしまうとは。
おもしろかった。
正直、ここまでおもしろいとは思わなかった。
コードギアス 反逆のルルーシュ 【第1期・全25話+総集編2話】
すごいアニメが出てきたもんだ
ダークな主人公、超能力、ロボット、美少女、頭脳戦、集団の指揮、架空戦史、侵略と支配、友情、いまだ明かされぬ超文明の存在……。
これほど多くの要素を詰め込んだアニメも珍しい。とりわけ特異なのは悪を辞さない主人公だ。通常の物語のフォーマットに従えば、スザクが主人公で、ルルーシュは敵(もしくはライバル)になるはず。これを逆転させるなんて考えられない。ある意味、禁忌を破ったような作品だ。
類似の作品として『DEATH NOTE』が挙げられる。
ライトはただの悪人だったが、ルルーシュには競うべき友がいて、守るべき妹がある。母への思慕や、父への義憤もある。こうした「情」を秘めることで、ルルーシュの人間性は奥行きを増した。よく考えられている。
そして本来なら主人公であるはずのスザクが、徹底的に不人気であることにも驚かされた。もはや時代は、甘っちょろい正義を必要としないのか。今後、こうしたダークな作品が増えていったら、子どもの情操教育はどうなるのか。そんなことが心配になるほどの問題作だ。
とにかくおもしろい。早く第2期を見たいよ。
明日の記憶
怖くて、切なくて、それでも望みを見いだせる
シーンが飛んだり、妄想と現実の区別がつかなくなる後半が恐ろしい。
師匠は本当にいたのだろうか? もし師匠がマボロシだったなら、冒頭で寄り添っていた妻もマボロシかもしれない。空白の日記、たくさんの写真、残された湯飲み、そこにいるのは誰かを気にすることもできない主人公。すべては黄昏に染まる。
見終えたあとにもう1度オープニングを見ると、形容しがたい感動に圧倒される。不自然な逆回しCGも、むしろ効果的な演出だった。この映画は2度楽しめる。
愛情ですべてを克服できるわけじゃない。
しかしそれでも、愛情だけが痛みを和らげてくれる。
いろんなことを考えさせられる、とても意義深い映画だった。
ひぐらしのなく頃に 【第1期・全26話】
気がつけば、夢中になっていた
第5話でリセットされたときはたまげた。そうか、同じ世界を繰り返しているのか。状況は同じなのに、フラグによって加害者が変わり、事件の展開も変わっていく。しかし陰惨な結末は同じ。
よく思いついたなぁ。よく練り込まれているなぁ。
絵柄で敬遠していたのは愚かだった。
とりわけ「綿流し編」と「目明し編」の対比は素晴らしい。現時点ではゲームも未プレイだし、『解』シリーズも見ていないから、まだ明かされていない謎は多いけど、興味は増すばかりだ。
これは一気に見た方がいいね。
時間が空いたり、途中が抜けたりすると、もうどうしようもないよ。
コンスタンティン
「おれはジョン・コンスタンティンだ。クソったれ!」
「天使と悪魔の戦争」というチープな題材を扱っておきながら、完成度の高さに感服する。登場人物はみんな活き活きしていて、好感がもてる。クライマックスは最高に盛り上がった。
それにつけてもコンスタンティンは斬新だ。クチも態度も悪く、戦い方はえげつない。正義より、自分の死後を気にするヒーローなんて初めて見たよ。
しかし考えてみれば、そんな境遇でもなければ危険な悪魔祓いをするはずもない。そういう意味では、非常に説得力のあるヒーローだった。
恐れを知らぬコンスタンティンが、ラストで禁煙するのはシュールだった。タバコの害を知って吸うのは自殺と同じか。悪魔祓いと同じく、仕方なく禁煙する。世の中、ままならないものだ。
続編というか、ぜひシリーズ化してほしい映画だった。
ワンダと巨像
勇気と興奮を体験させてくれる、希有なゲーム!
最初の巨像と遭遇したときの衝撃が忘れられない。
その強大さ、神々しさに、ひたすら圧倒された。その体躯をよじ登り、剣を突き刺す。轟音を立てて巨像が倒れる。なんだか、とんでもないことをやった(やりとげた、やってしまった)という気持ちになる。
こんな興奮を、ゲームで味わえるとは思わなかった。
ただ、不満な点もある。
なにより巨像の攻略が難しすぎる。あまりにも長時間戦いつづけるため、イライラも募るし、巨像への畏怖心も薄らいでしまう。数も多いのだから、1体ごとの難易度はもう少し低くてもよかったのではないだろうか。
それと、巨像の名前が欲しい。4体目とか、11体目では呼びにくい。
ゲーム設計としては難があるけど、ストーリーを考えると文句も言えない。
なにせワンダは、この世の摂理に反したことに挑戦しているのだ。七難八苦があるのは当然。それを打ち破る強い意志がなければ、願いが叶うはずもない。
これは男のゲームだ。
誰にでも簡単に解けるわけではない。
それゆえに、突破したときの喜び(そして悲しみ)は大きい。
メタルギア ソリッド 3 スネーク・イーター
名誉挽回。それこそが最大の任務!
『2』はひどかった。本当に駄目だった。
この不名誉を挽回することが、『3』に課せられた使命だった。
失敗は許されない。きわめて困難な任務である。
だが、小島監督は見事やり遂げた。
『2』にウンザリした人にも、これならオススメできる。
決まると気持ちいいCQC、面倒でも楽しいカモフラージュやキュアー、そしてフードキャプチャー、どことなく狂っているザ・ボス、ケレン味たっぷりのコブラ部隊、例によって豊富な無線ネタ、まさかと思うことがヒットする戦闘オプション・・・。
ヤリコミ要素もたっぷりで、私も何周したかわからない。
メタルギアの魅力は完全復活した!
いやぁ、素晴らしいよ。
この調子で、これからもお願いしたい♪
げんしけん 【第1期・全12話】
春日部さんに萌える~
第一期の主人公は、まちがいなく春日部さんだね。怒ったり、悩んだり、泣いたりと、その豊かな表情に惚れる。すぐ手が出るところも素敵。自治会と談判したり、笹原の妹(恵子)をしばく姿にしびれる。ぜひ教職に進んでほしい。
げんしけんメンバーは不揃いでありながら仲がよい。世間的には同じオタクの漫研や新入生とは水が合わない。オタクといえども均一の種族ではないから、相性がある。人の縁というのは、おもしろいね。
オタクを冷静に、しかし愛情をもって描いている。その視点に好感がもてる。
題材は特殊だが、中身は正統派の青春ドラマだった。
ピンポン
「あんたは、おいらに、飛び方を教えてくれた!」
青春スポーツ映画はいくつか見てきたが、これが最高峰だ。
「I Can Fly!」のセリフが、最後になって大きな意味をもつ。負けたペコは勝ち、勝ったチャイナは負けた。であるなら、勝負に手を抜いたスマイルの罪は重い。
卓球が好きなペコ、努力するアクマ、才能があるスマイル…。そしてチャイナ、ドラゴン、小泉、ババア……。
キャラが多いのに、それぞれの気持ちがみずみずしく描かれている。
がんばれば結果が出るとか、楽しいからがんばるとか、そういう話じゃない。勝負を越えた青春の燃焼に、いまは嫉妬さえ感じる。
これほどまぶしい青春映画は、かつて見たことがない。
スパイダーマン 2
「スパイダーマンになるから落ちる」とは名アドバイスだった
スパイダーマンはできないことが多い。
ピザの配達も、家賃を払うことも、恋人の芝居を見に行くこともできない。なんて不器用なんだろう。ふつうの人とできること/できないことが逆転しているのだ。
これを修正するため、ピーターは片方を捨てる。特殊能力より、ふつうの人の幸せがほしい。その気持ちが痛いほど伝わってくる。
医者に言われたアドバイスが印象的だった。
スパイダーマンになるから落ちる。自分以上の存在になろうとするから、無理が出る。自分はすでにスパイダーマンだと気づけばよかったわけだ。
「正体がばれたら終わり」というタブーを破った展開も素晴らしい。
MJとの関係もいいけど、ニューヨーク市民の心配りに泣けた。弱者であっても感謝の気持ちは忘れない。胸の奥が熱くなったよ。
1作目は大して感動しなかったけど、2作目はすごかった。
誰もが心の奥底に秘められたヒーローを刺激されたと思う。
ドーン・オブ・ザ・デッド (2004年版)
なぜモールを出たのか、考えてみる
比較的安全なモールを飛び出して、無謀な賭けに出た理由を想像すると、サバイバルの厳しさが見えてくる。
つまり彼らは、食糧の尽きたモールで衰弱死することを受け入れられなかったのだ。
誰もハッキリと口に出さないが、あれは満場一致の自決行為だった。そういう目で見ると、各人の言動やラストもちがった意味をもつ。愛情や自己犠牲も、陶酔の発露でしかない。
人はパンと安全のみで生きるにあらずか。
銃砲店のアンディは、天の配剤だったね。
“隣人”の存在がなければ、彼らはもっと早く自滅していただろう。
おもしろかった。
じつに有意義なゾンビ映画だった。
ロード・オブ・ザ・リング / 王の帰還
つらいときに思い出す価値がある
衰弱したフロドが痛ましい。1作目の快活さは消え失せ、心までむしばまれている。指輪を運ぶことがこれほど厳しい使命だったとは。ゴンドール王国の戦いも苛烈だが、それに劣らぬ戦いが彼に起こっていた。
そしてフロドは誘惑に負けた。サムの献身も届かない。わずかな時間を稼ぐため、仲間たちは全滅覚悟で突撃する。しかし最後の最後で運命を決したのは、フロドの情けがもたらした偶然だった。なんという皮肉だろう。
戦いを終えて、フロドはホビット庄を去る。このあたりの描写はやや駆け足だが、深い感銘を与えるラストだった。
見てよかった。そう思える映画を見られて、幸せだった。
ガンスリンガー・ガール 【第1期・全13話】
彼女たちを不幸と言えるだろうか?
絶望的な状況ではあるが、こうすればよかったという代案が浮かばない。利用されることが不幸なら、利用されないことも不幸だ。とりわけリコは、義体がなければ動くこともできなかったのだから。
そして担当官たちも苦悩している。彼らには、敬愛したり、指示をくれる「担当官」は存在しない。そして私たちにもいない。では、私たちは彼女たちより幸福だろうか?
美少女は愛らしく、リアルに描かれた銃器やイタリア社会は興味深い。テーマもある。おもしろいのは当然だ。
白い巨塔 【2003年版・全21話】
むしろ里見の異常さが印象的だった
山崎豊子原作の同名小説4度目のテレビドラマ化。私にとっては最初の遭遇。
いやぁ、おもしろいねぇ! 病院の腐敗も衝撃的だが、やはり財前(唐沢寿明)と里見(江口洋介)から目を離せない。野心家の財前より、正義をためらわない里見の方が特殊に見える。奥さんが心配するのも無理はない。財前は、そんな里見にあこがれ、焦っていたのだろうか。
「僕に不安はないよ。ただ…すまん。ただ…無念だ」
財前の懺悔が心に刺さる。財前の魂は、里見によって救われたのか。
感動的なシーンだが、正妻と愛妾はどうなるのか? なにか言葉を遺してやればよかったのに。いまわの際でも里見のことばかり。金も権力も女も眼中ないのか。妬けちゃうぜ。
いろんな視点で楽しめるTVドラマだった。
プラネテス 【全26話】
「宇宙はおまえを愛してはくれないが、許してはくれる…」
つらかった。いまの自分に重なるところが多くて、胸が苦しくなった。若さだけではどうにもならない世の中、調和を重んじて現状を受け入れるか、周囲に迷惑をかけてでも理想を追い求めるか。登場人物たちはみな、それぞれの理念で行動し、衝突し、変化し、成長していく。エリートと下っ端、障害物と援助者、善と悪は入れ替わっていく。
すべてはつながっている。本当にそう思える物語だった。
シリーズは大きく2つに分けられる。デブリ屋として働く「現状」パートと、フォン・ブラウン号に乗船するまでを描く「理想」パートだ。両者の境界にあるのが第16話『イグニッション』。よいタイトルに、よいエピソードだった。
社会人に見てほしいアニメシリーズだ。
(映画) バイオハザード
ゲームファンなら必ず見てほしい映画
まったく期待しないで映画館に行ったせいもあるけど、その設定や展開には素晴らしい意味で裏切られた。
「そこで死ぬかぁ!」
「そこで生きるかぁ!」
「そこにつながるのかぁ!」
ほんとに最後まで、ハラハラドキドキでしたよ。
もう大満足させていただきました。
DVDも買ったよ。コメンタリーが楽しめたよ。
キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン
フランクはなんのために詐欺を働いたのか?
冒頭で「なぜ詐欺を働いたのか」と問われるシーンがあるけど、本物のフランクならどう答えるだろう?
生きていくためとは思えない。
フランクは、失われたものを取り返したかったのだ。それは、いつまでも踊りつづける両親の姿に象徴される、豊かで愛情のある家族だった。だからこそフランクは、節目節目で父親に連絡して、立派になった自分の姿を見せる。自分が頑張れば家族が元に戻ると信じていたのだ。しかしそれは幻想だった。資産家の娘と婚約して、その家族に加えてもらったことも幻想だった。
逮捕され、逃走して、フランクは理解する。
家族はもう決して、元には戻らないと。
フランクがFBIの仕事に従事したのは、カールに父性を見いだしたためだった。ところが週末に遊んでもらえないので、フランクはまた飛び出してしまう。詐欺のためではなく、追ってもらうためだ。そんな甘えん坊フランクに、カールは甘くない父親として接する。
そしてエンディング。
不覚にも、ぐぐっと来てしまった。
それと、クリストファー・ウォーケン演じるフランクの父親がすごい。
落ちぶれた父親の悲哀、未練、虚勢、誇りなどが伝わってくる。
やたらと存在感のある父親だった。
リベリオン -反逆者-
これはおもしろいッ!
『デモリションマン』よりリアルで、『未来世紀ブラジル』よりスタイリッシュで、『マトリックス』よりわかりやすい。
世界設定への疑問も、ガン・カタの強烈なアクションが吹き飛ばされている。じつに痛快だ。
車のデザインは現代とそう変わりないところが、妙にリアルだった。
攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 【第1期・全26話】
久しぶりにどっぷりハマッたアニメ
深夜アニメが乱発し、その質的低下と均一化にうんざりしていた頃、本作に遭遇した。衝撃だった。最新の技術とセンスを駆使したアニメがこんなにおもしろいとは!
漫画版やアニメ版、あるいは過去の作品に寄りかかることなく、独自の世界観(近未来の社会イメージ)を構築している。そのかたわら、原作へのオマージュを散りばめるといった心配りもにくい。ストーリーは練り込まれていて、明瞭な“答え”を出さない終わり方も印象的だ。シリーズの根幹をなす「笑い男」事件は難解だけど、その難解さを逆手に取った演出もおもしろかった。
アニメの潜在力を再確認できたシリーズだった。
本作に出会わなかったら、私は今以上にアニメを見ていなかっただろうね。
あずまんが大王 【全26話】
彼女たちと過ごした3年間は忘れられない
ゆるーい日常を描いた4コマ漫画のアニメ化。特定の主人公も、特定の物語もないが、ちょっと人に話したくなるようなドラマに満ちている。『苺ましまろ』や『らき☆すた』に多くの影響を与えたと言われるだけあって、センスのよさはピカイチだ。
お気に入りはゆかり先生とみなも先生。生徒たちの奔放な高校生活も、この先生方がいればこそだ。合宿時に禁断の話をぶちまけるみなも先生(第14話)や、卒業時に生徒をあっさり見送るゆかり先生(第26話)が印象的だった。
それとアニメオリジナルの第19話がよかった。
自分はまだ若い? 子どもっぽい? どんなに大人になりたい?
生徒も先生も立ち止まって「今」を見つめなおす。おちゃらけたキャラをシリアスに描くことで、卒業に向けてのよい区切りになっていた。
全26話を見終えたときは、しんみり感動してしまった。こんな風に感動できるアニメとは思わなかった。
仮面ライダー龍騎【全50話】
私にとって、特撮番組のナンバー1
メインキャラが殺し合うバトルロワイヤルものは多々あれど、これほど完成された、これほど魅力的なストーリーもない。ライダーやモンスター、カードシステムも素晴らしいが、なによりキャラがいい。もうね、たまりませんよ。
バトルロワイヤルものの主人公はいつも戦いを止めようとする。本作の真司もそれは同じだが、決して安直な正義感ではなく、強い意志を感じさせるところがいい。一方の蓮は、悪になるために魂をすり減らしている。この2人を見ていると、正義の重さがわかる。
最初から最後までおもしろかった。
多くの人に見てほしい、傑作シリーズである。
おねがい☆ティーチャー 【全12話】
みずみずしく描かれた高校生の“リアル”
いいねぇ。いいなぁ。
「宇宙人」や「停滞」といったSF要素はあるものの、描かれているのは若者たちの青春だ。とりわけ恋愛の描写は踏み込んだもので、初体験を迎えたカップルも多い。それでいて猥褻さを感じさせないところが、本作の素晴らしさだ。
リアルに描写された片田舎(長野県大町市・木崎湖周辺)の情景も素晴らしい。いわゆる「聖地巡礼」が活発になったのも、本作によるところが大きいのではないだろうか。実際、見ていて私も現地を訪れてみたくなった。
前に進みたくなる。たとえ傷つくことになっても。
彼らの姿を見ていると、もじもじ悩むのは馬鹿らしくなるよ。
イコ (ICO)
ゲームというより、心象風景を再現する装置のようだ
なるべく静かなところでプレイしてください。
音楽もいいけど、「音」もいいんです。音と光が作り出す雰囲気は、ほんとうに素晴らしい。空気のにおいや温度、湿り気さえ伝わってくるようです。
──荒涼とした古城にヨルダと2人きり。
どんな人たちがこの回廊を歩いていたのだろう。
この広間から笑い声が途絶えて、どれほどの時間が経つのだろう。
そんなことを考えてしまうほど、たまらない雰囲気にひたれますよ。
零 ~zero~
怖くて楽しい。たっぷりハマれる和風ホラーアドベンチャー!
怖さで言えば、『SILENT HILL』に軍配が上がる。
しかしゲームとしての楽しさを含めると、こちらが勝利する。
怖さ、物語の深さ、展開の小気味よさ、ゲームシステム、音響、おまけ要素 . . . 。
どれをとってもハイレベルだ。文句をつける気にもなれない
幽霊をカメラで撃退するというアイデアがまずイカす。
そんなこと、考えもしなかった。
霊の存在や接近を知らせるフィラメント、心霊写真のコレクションも楽しい。
近代日本(昭和後期)という舞台設定、テープに残された不気味なヒント、章を追うごとに過去(核心)へとさかのぼっていく物語展開も素晴らしい。
敵(幽霊)の個性、出現方法、攻撃パターンなども考えられていて、飽きさせない。
最後の鏡の欠片が見つかったときは、寒気がするほど感動したね。
実際、ものすごくハマった。
これほど楽しめるとは思わなかった。
素晴らしい作品だった。
X-メン
老人2人が渋すぎる。かっこよすぎる。たまりませんよ
チームのリーダー(サイクロップス)は脇役。
主人公(ウルヴァリン)でさえ若造にすぎぬ。
『X-MEN』はもう、プロフェッサーXとマグニートの物語だね。
この老人2人、かっこよすぎますよ。
──物語も奥が深い。
パワーがあり、魅力的なミュータントに感情移入するのは簡単だ。
では、同じようにホモセクシャルを受け入れられるだろうか?
差別、偏見、未知なるものへ拒否反応は、抑えがたい人間の本質でもある。「よくないこと」で片づけられるほど、簡単じゃない。
自分が差別される側になったら、どうするだろう?
プロフェッサーXのように、共存と平和を信じられるだろうか。
マグニートのように、適者生存をつらぬくだろうか。
ウルヴァリンのように、今は関係ないと無視するだろうか。
いろいろ考えていくと、やはり老人2人が魅力的だ。
年老いてなお、希望と信念をもつ2人。
対立しつつも、理解しあっている2人。
たまりませんよ!!
仮面ライダー クウガ 【全49話】
ここまで熱中できるライダーに出会えるとは!
なにがスゴイって、状況が変わっていくんだぜ。時計の針が停まらぬように、五代も、グロンギも、警察も、周囲の人たちも、社会も、少しずつ変化していく。しかもスキップ(ドラマのカット)もある。いやぁ、たまげたよ。
おもしろいアイデアがいっぱいだが、とりわけグロンギ語がすごい。字幕のないグロンギ語がドラマに深みを与えている。真剣に聞いていると、言っていることがおぼろげながらわかるから不思議だよね。
五代雄介もいいけど、一条薫も好き。仮面ライダーを気づかう警察官なんて初めて見たよ。最後の変身(第48話)で見せた思いやりも泣ける。五代の陰に隠れてしまったが、きわめて特異な人物だったと思う。
語りはじめたらキリがない。
それほど大好きな作品だった。
デュープリズム
きゅんと萌えて、ほろりと泣けるストーリー
とにかくミントがかわいい♪
途方もなく元気で、快活で、攻撃的な女の子。もう、たまりませんよ。
ルウも決して悪くない♪
ゲームオーバーの闇にふっと消えていくクレアを見たときは、涙がこぼれた。
ゲームそのものは大したことはない。
簡単だし、意味不明な仕掛けも多い。いきなりプレイしたら、数分で飽きてただろう。それを最後まで引っ張っていったのは、キャラクターの魅力にほかならない。
といっても、当時の3D技術は稚拙で、今見ると各キャラは紙細工のようだ。
のっぺりした形状、少ないパーツ、表情は乏しく、声もない。
しかしそれでも、彼女たちの魅力は光り輝く。
キャラの魅力は技術力ではないと証明した作品でもある。
サイレントヒル
とにかく怖い。とにかく怖い。とにかく怖い
ギャーと驚くような怖さじゃない。
その雰囲気、物音、気配、意味するところが怖い。
サイレントヒルは、不死身のボディにミサイルランチャーを装備しても、絶対に訪れたくない街だ。とか言いながら5回もプレイしてしまったが・・・。
ところで、町の人びとはどこへ消えてしまったのだろう? もしかすると、あの異形の怪物たちは住民の変わり果てた姿なのだろうか? サイレントヒルになにが起こったのか。そして、なにが起ころうとしていたのか。
わだかまるナゾ。残されたヒント。
いろいろな解釈が可能で、それを話し合うのもまた楽しい。
・・・いや、怖い。怖くて、楽しい。
トイ・ストーリー2
トイ・ストーリーに「完成」はない
ウッディのプレミアム価値が判明し、オモチャとしてのアイデンティティが揺らぐ。そんな中、たよりになるのは、前作で頭コチコチだったバズだ。あの冒険を経て、じつに素晴らしい仲間になっていた。
助けたり、助けられたり。彼らの活躍を見ていると胸が熱く、そして温かくなる。
優しそうな金鉱堀りのプロスペクターが、じつはいちばん悲しんでいたことが明らかになって、胸がつぶれそうになった。
物語はどんどん進んでいくが、心の中では迷っていた。アンディの家で遊んでもらうのと、博物館に飾られることでは、どっちが幸せなのだろう?
明確な答えなどありはしない。オモチャはただ信じるのみで、持ち主の子どもが答えを出すのだ。それがわかったとき、ほろりと泣けた。
これほど楽しい続編が作られるとは思わなかった。
前作で「完成した」と思ったのは、浅はかだった。ディズニーランドと同じで、トイ・ストーリーに「完成」はない。この物語の続きは、世界中の子どもたちの部屋で上映されるだろう。