押繪と旅する男 The Traveler with the Pasted Rag Picture

1994年 日本映画 2ツ星 狂気 @江戸川乱歩

これ、アカンやつや

原作が幻想的な短編小説だから、そのまま映像化するのは無理とわかってる。わかっているが、ここまでヒネってしまうとは思わなかった。まったく別のストーリーになったわけじゃない。主人公の視点が定まらなくて、物語に入っていけなかった。

老人の演技はすごい。鷲尾いさ子が演じる兄嫁もすてき。消滅した兄と、年老いた弟が、列車に揺られるシーンも素晴らしい。しかし全体としてはチンプンカンプンだ。

ラスト、登場人物たちが砂丘に出てきて、蜃気楼を見る。まるでカーテンコールに集まったキャストが、観客席を見ているようだ。これも印象的なシーンなんだけど、物語としての意味がわからない。

原作が原作だから、しっかりした起承転結やテーマ性は実装できないだろう。しかしそこに挑んでほしかった。何度も見れば、監督の意図がつかめるかもしれないが、2度見る気にはとてもなれなかった。

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