フランダースの犬 A Dog of Flanders

1999年 外国映画 4ツ星 ドラマ ファンタジー:童話 主人公は子ども

泣けるが、つらい

救われない物語の代名詞。1975年の世界名作劇場を知っている人は、パトラッシュの犬種やアロアの雰囲気のちがいに戸惑うかもしれないが、些末なことだ。ストーリーがわかりやすく、テンポもいい。中盤以降は物語に引き込まれ、ネロの幸福を願うようになる。結末の演出はいささか突飛な気もするが、実写で天使を描くよりはいい。これはこれでよい。

鑑賞後は、悲しみより怒りに身が震える。不誠実な連中に天誅を落としたくなるが、そんなネガティブなことを考えても意味はない。ネロの汚名は晴らされているし、コゼツは一生悔いるだろう。絵画コンクールのいんちきなんて、ルーベンスも「気にするな」と言ってくれた。ハンスは許せないが、彼の所業が露見した以上、村人たちがなんらかの措置をするだろう。画家ミシェルもがんばってくれた。だれが悪いわけじゃない。あと少しだけ、ほんの少しだけ時間があればよかったのだ。

ネロの死によって多くの人が大切なことに気づいたなら、それでいい。でなければ、本当に報われない。

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