1001 Nights ワン・サウンザンド・ワンナイツ 1001 Nights

1999年 アニメ 2ツ星 ファンタジー:童話

あまりに抽象的

天野喜孝の絵と、デビッド・ニューマンの曲で描いたアラビアンナイトの世界。セリフのない短編映画であり、ストーリーを抽象的に表現する。そう聞くと期待も高まるのだが、それほど鮮烈な印象はなかった。表現は多様だし、エロティックだったり、おっと驚く描写もあるんだけど、まぁ、実験映像の域を出ていない。同じ天野喜孝のタッチを活かしたアニメと言えば、『天使のたまご(1986)』が思い出されるが、あちらの方が(意味不明だとしても)世界観があって、好感がもてる。

私はソノラマ文庫の挿絵で、天野喜孝のタッチの変遷を見てきた。昔の作品は、大胆な省略はあるものの、目に見える具象的なシーンを描いていた。それがだんだん省略が多くなって、抽象的なイメージになっていく。吸血鬼ハンターDやキマイラ吼シリーズの初期と近刊を比べると、あまりの変貌ぶりに驚く。これはこれでファンも多いのだが、私は以前のタッチの方が好きだ。『天使のたまご』と『1001 Nights』には、そうしたタッチの差があると思う。

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