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[レビュー1992年12月20日に発表された 

宇宙の騎士テッカマンブレード (全49話)

Space Knight Tekkaman Blade (Teknoman)

リソース不足が悔やまれる

シリーズ構成
  • 敵の走狗となった肉親や知人と戦う宿命を背負った孤独な男が地球に飛来
    • 肉親や知人と戦う代わりに、今度は共に戦う新しい仲間ができ、次第に心を開く
      • ついには、人の心を持ったまま脱出した妹と再会する
        • その喜びもつかの間、妹が自分を守るために肉親達と戦い、散ってしまう
      • 自らもテックシステムによって傷つくが、仲間達の助力でシステムを進化させてパワーアップ
    • 肉体の崩壊は抑えられたものの、副作用で脳細胞に影響が波及し記憶を失い始める
  • 人としての自分を捨てて、最後の敵である弟と兄を倒し、記憶を失って地球に帰還する

宇宙の騎士テッカマンブレード - Wikipedia

中途半端に終わった『宇宙の騎士テッカマン』(1975)の続編と思いきや、名前だけ借りた別作品だった。タツノコプロはのちに『破裏拳ポリマー』(1974)→『破裏拳ポリマー OVA』(1996)、『科学忍者隊ガッチャマン』(1972)→『ガッチャマンクラウズ』(2013)といった翻案を手がけるが、当時、「名前だけ借りた別作品」という切り口は新鮮だった

視聴中は、どんどん丸くなっていくDボゥイが不安だった。ところがミユキを失ってからの転落は圧巻。とりわけ「ブラスター化」による記憶障害はかつてなかった。そして記憶を失ったからこそ、肉親を容赦なく討ち取ることができたという結末。なんというドラマ。Dボゥイは近年まれに見る不幸な主人公だった。

しかし作画はひどかった。いったん崩れると、だれがだれだかわからない。戦いの趨勢より、作画崩壊にビクビクしながら観ていた。おまけに演出がくどく、アックスやエビルのしつこさは夢にみるほど。作画リソースが足りなかったせいと思われるが、ストーリーの感動が大いに損なわれてしまった。OVAでじっくり作れば傑作になっただろう。とはいえ何年もかけてリリースされると興味を維持できない。難しいところだ。

テッカマンという侵略兵器

地表に降下したラダム獣は、ラダム樹になって地球環境を変えていく。一定期間が経つと開花して、現地の知的生物を取り込み、ラダムの民に変える(フォーマットする)ことで侵略を完了する。ラダム樹(獣)は知能が低く、攻撃されないかぎり人間には無関心。そのため群れを導く存在として、テッカマンが送り込まれる。ラダム樹(獣)が羊、テッカマンはラダムに雇われた羊飼いである。

ラダムは侵略先の知的生命体(地球人)を捕獲し、テッカマンを急造する。この物語ではアルゴス号の乗務員たちが犠牲となった。初期段階は急いでいるため、父・孝三のようなフォーマット失敗、妹・ミユキのような寄生失敗といった不適合者が出てしまう。

ラダム樹(獣)は家畜であって、侵略者ラダムは姿を見せていないところがポイント。その正体は小さな寄生虫で、テッカマンの脳に寄生していた。テッカマンは洗脳されたり、脳改造されたわけではなく、脳内の寄生虫が人体をロボットのように操縦していたのだ。
タカヤ(ブレード)は寄生されるまえに脱出し、妹・ミユキ(レイピア)は寄生に失敗したため、人間の意思を保つことができた。しかしラダム側のテッカマンも人間の意志を失ったわけではなく、シンヤ(エビル)の強烈な個性はラダムの思惑を越えていたようだ。このあたり、もっと描いてほしかった。

驚異のブラスター化

Dボゥイ(ブレード)は不完全なテッカマンであるため、変身すればするほど能力が落ちていった。スペースナイツ、ペガス、ソルテッカマンで支援するが、能力の劣化は止まらない。
テックシステムを研究し、テッカマンを進化させる方法(ブラスター化)が発見される。成功確率はきわめて低く、成功しても寿命は3ヶ月まで短くなるが、強大なパワーを得られると言う。おいおい、Dボゥイを延命させるための研究が、どうしてそうなるんだ?

順当なパワーアップイベントと思っていたが、なんと寿命の短縮はなくなり、変身するたび記憶を失う障害を負ってしまう。これは驚いた。Dボゥイは仲間や家族を忘れても、憎しみだけは忘れないようにする。結果、エビル(シンヤ)、オメガ(ケンゴ)を問答無用で討ち取ることができた。勝利したDボゥイを待っていたのは、すべてを失った恍惚の日々だった。

抜け落ちたエビル視点

エビル(シンヤ)はブレード(タカヤ)を「兄さん、兄さん」と挑発する。これが毎回繰り返されるので、かなりウンザリした。エビルのほうがポテンシャルが高く、強烈な殺意を抱いているため、わざわざ戦意をくじく必要はない。やるのはいいけど、意味をもたせるべきだった。

エビルも対抗するためブラスター化するが、こちらは寿命が短縮され、激痛に堪えることとなる。なので兄弟対決は絶叫のオンパレード。うるさいのなんのって。ブラスターエビルは、ブラスターブレードに打ち勝つが、肉体崩壊のため命を落とす。勝負に勝って試合に負けた。このあたりも駆け足で、悲劇性がわかりにくい。

エビル(シンヤ)側の視点は『燃えた時計』で補完されたが、本編で描いてほしかった。

『テッカマンブレード』の世界観、ストーリーは抜群によかった。
もう一度、ちゃんとリソースを確保してリメイクしてほしい。

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