4ツ星

すべてはキムの夢ではなかったか?

あらすじ

ある寒い冬の夜。「雪はどうして降るの?」と孫娘に聞かれた祖母が話しはじめる。

昔々、町外れの山の上の屋敷に住んでいた科学者が、人造人間エドワードを創造した。しかし科学者が発作を起こして死んでしまったため、エドワードの両手はハサミのままだった。
ある日、化粧品を売りに来たペグがエドワードを見つけ、自宅に連れ帰る。エドワードのハサミは植木の剪定などに便利だったため、次第に人気ものになる。やがてエドワードはペグの娘、キムに恋をする。
ペグのボーイフレンド・ジムは、エドワードに嫉妬して、万引きの罪を着せる。エドワードはキムを思って弁解せず、そのため町の人たちに避けられてしまう。キムはエドワードに惹かれはじめ、ジムはますます嫉妬を募らせていく。

クリスマスの夜、氷の彫刻を造っていたエドワードは、あやまってキムの手を傷つけてしまう。またいくつか誤解が重なって、危険な怪物として追われることに。キムはジムと絶交し、エドワードを探す。屋敷に逃げ込んだエドワードは、ジムと揉み合いになって彼を殺してしまう。キムはエドワードに別れを告げ、予備の手を町の人たちに見せてエドワードは死んだと伝えた。

それ以来、クリスマスになると雪が降るようになったと言う。この雪は、エドワードが氷の彫刻を削ったときに飛び散った細かい氷の粒なのだ。そしてエドワードが彫っているものは若かりし日の祖母、すなわちキムの姿だった。

人造人間エドワードは、人間関係に苦悩した十代のティム・バートンを投影しているそうだ。そのつもりがなくても人を傷つけてしまうハサミの手は、なかなか心に響くものがある。フランケンシュタインは醜さゆえに嫌悪されたが、エドワードは好意を抱いてくれた相手さえも傷つけてしまうわけだ。

プロットはおもしろいが、ストーリーの満足度は低い。キムは果てしなく善良で、ハサミの手で傷つくことを恐れない。まぁ、大した傷も負ってないけどね。プロットを活かすなら、キムの顔に傷が残るくらいの試練がほしかった。
登場人物はみなデフォルメされていて、人間としての奥行きがない。まぁ、童話だから仕方ないんだけど、そうなるとジムの死だけ生々しい。べつにジムが死ななくても、エドワードと別れる展開にできたはず。どうにも奇妙だ。

そこで私なりに妄想してみた。

妄想リメイク

# 前半は同じ
# ただしすべてキムの一人称で。

屋敷に逃げ込んだエドワードを、ジムが追い詰める。エドワードはもう屋敷を出ず、独りで生きていくと決めていたが、エドワードが生きているかぎりキムは大人になれないと責める。説得されたエドワードは、自分で自分を誘うとする。そのときキムが飛び出してきて、ジムを刺し殺した。
キムはエドワードに別れを告げ、エドワードは死んだと町の人たちに伝えた。
今もエドワードは生きていて、クリスマスになると氷の彫刻を造っているのだと。

話を聞いた孫娘がなにか言おうとするが、お父さんに呼ばれて部屋を出ていった。お父さんはジムそっくりだった。
階下から声が聞こえてくる。
「お婆ちゃんの部屋に入っちゃ駄目でしょ」
「ちょっと頭がおかしいから」

あの夜、キムはジムを殺せなかった。そのためエドワードは自分の胸を貫き、死体は裂け目に落ちていった。ジムは英雄となり、キムと結婚した。町一番の美女を娶ってジムはご満悦だが、キムの心は次第にうつろになり、妄想に耽るようになったのだ。

なにかに呼ばれたような気がして、キムは家を出ていく。キムは山を登って屋敷に着くと、エドワードがいて、自分も若いころの姿になっていた。
外界では、お婆ちゃんが消えたと騒動になっていているが、愛し合う2人には聞こえない。


※科学者とエドワードの屋敷。この風景は好き。

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