レビュー  1981年12月19日  に発表された 

宇宙戦士バルディオス 劇場版
Space Warrior Baldios: The Movie

5ツ星

さらに救いのない結末

バルディオスは打ち切りのため、最終回はあまりに唐突だった。それを補完するための劇場版だが、さらに暗澹たる展開が待っていた。子ども向けロボットアニメで、これほど絶望的なエンディングも珍しい。
TV放送当時、私は9歳。あのころは気づかなかったけど、人間ドラマの深さに驚かされる。「戦争と愛」をテーマにした作品は数あれど、本作はその金字塔と言っていい。

劇場版では、地球人類の醜悪さにめまいを起こす。一般大衆だけでなく、ブルーフィクサーの連中までマリンを見下し、主戦論を変えなかった。マリンは地球に味方しても信用されず、アルデバロン軍(S-1星)にもどれば裏切り者と糾弾される。「それでも行くのか、マリン♪」と歌いたくなる。
一方、アフロディアの身勝手さもひどい。自分に甘く、他人に厳しい。美女だからごまかされるが、やってることは極悪人だ。ガットラーが「女だから」と司令官職を解きたくなるのもうなづける。
しかしアフロディアは美しい。メガネを外し、髪を下ろす「変身」は、9歳だった私の心をわしづかみにした。手に負えない天然悪女だからこそ、魅力的なのか。

地球とS-1星の関係が明らかになっても、戦争は止められなかった。クィンシュタイン博士が言うと、悲しいほど説得力がある。つまり地球人は、自分たちの未来を消し去ってしまったわけだ。OPで「明日を救え、バルディオス♪」と歌われるが、なにも救えなかったマリン。あまりにも切ない。
そしてエンディング後に流れる「愛のメッセージ」が沁みる。全文を引用しておく。

愛のメッセージ
作:島田知保

思い出して ごらん...
遠い昔 まだ僕達が
毛むくじゃらの 猿だった頃
言葉など 無くても
理解し 合えた 事を。

母なる 惑星の 滅びかけた
大地の下に 今も 安らかに
眠る 何兆という
恋人達の 屍の 事を。

気の遠く なる様な
時の流れの この一瞬に
僕達は出逢った。
その 幸運な奇蹟を...。

ビッグバンが真実ならば
僕達は紛れもなく 一つ
だったのだ。 そして...
遥かな未来。 この宇宙が
縮み行くものならば
どんなに 憎んだ者とも
限りない美しい文明の遺産や
尊敬してやまぬ あの人とも
一つに 還るのだ。 僕達に

何故 愛さずに 居られよう
僕の一部である 君を
そして この宇宙の
全ての 存在 を...

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宇宙戦士バルディオス 劇場版