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[レビュー2003年11月05日に発表された 

マトリックス レボリューションズ

The Matrix Revolutions

そのオタク成分をよい意味で受け取りたい

マトリックスは1が最高で、2と3は蛇足という人もいるが、酷評することもなかろう。たしかにストーリーは難解だ。そのためアクション映画の痛快さは失われ、取ってつけたようなハッピーエンドに呆然となる。私も映画館を出たときは狐につままれたような気持ちだった。その後、じっくり考えて、だんだんおもしろくなってきた。
アクション映画としてみると物足りないが、SF映画としてみれば満足できるだろう。

映画館を出たときの解釈

ネオたちは「夢から醒めた夢」を見ているだけで、ザイオンのある現実世界もマトリックスの一部だった。ネオが現実世界で超能力を使えたことも、エージェント・スミスが接続されていない人間に侵食できたのも、そう考えれば説明がつく。
では、本当の現実はどうなっているのか? モーフィアスがネオに語った「歴史」は、ザイオン・アーカイブに基づいているのだろうが、これが真実である保証はない。全人類が「水槽の脳」に沈んでしまった以上、今がいつで、外がどうなっているか知るすべはない。ひょっとしたら外は荒廃していて、マトリックが人間を保護しているかもしれない。マトリックスを破壊すれば人間も滅びる。しかし人間は、本質的に支配を受け付けない。6回も破壊と再生を繰り返してきたが、ネオはアーキテクトから譲歩を引き出したのだ。

機械都市の上空には青空が広がっていた。だれも侵入するはずのない領域まで、機械はきちんと設定していた。ひょっとしたら宇宙も設定しているかもしれない。これはもう、神の仕事である。ネオは機械ではなく、神と戦ったのだ。そう思えば不思議と納得できる。

あとで公式設定を読んで、自分の考えがズレていることを知った。だけど落胆はない。あれこれ考えて、友だちと解釈を語り合ったことは、いい思い出だ。

私の妄想を交え、状況を整理してみたい。

妄想リメイク

はるか昔、地球規模の天変地異が起こった。
環境回復には数万年かかるため、地下に逃れた人類は戦争をはじめた。みかねた機械(アーキテクト)は人類を保護すべく、その肉体を「発電所」に収容し、その精神を「Matrix」に接続した。「20世紀末の都市で平和に暮らしている」という夢を見ることで、ようやっと人類は安定した。

ところが、ごくわずかな人間が Matrix の夢から目覚めてしまう。脱落者たちは地下都市「Zion」に逃れ、Matrix に干渉しつづけた。その影響が蓄積すると、Matrixのルールを無視できる救世主(アノマリー)が生まれた。救世主は Matrix を終わらせる。崩壊とリセットを繰り返すことで、アーキテクトはいくつかの対策を講じた。

  • 人間の不確定性を予測する下位プログラム「オラクル」を作った。
  • オラクルは、救世主の性質を「ソース」に返すことで、バージョンアップさせる仕組みを作る。
  • 救世主は、Matrix を進化させる要素となったため、その母胎となる Zion も必要になった。
  • Zion を安定させるため、偽りの歴史(Zion Archive)を与えた。
  • エージェントを配置して、Zion からのアクセスを監視した。

6回目の Matrix で、6人目の救世主(ネオ)が生まれた。
アーキテクトは用済みになった Zion を攻略。ネオをソースに回収したのち Matrix をリセットしようとするが、予想外のことが起こった。

  • ネオの性質がスミスに転写され、ウイルスとなった。
    • 人間の脳を侵食することで、現実世界に干渉できるようになった。
  • ネオの能力が想定を超えて強くなった。
    • プラグなしで Matrix に干渉できるようになった。

ネオ「スミスを除去するかわりに、Zion を存続させてくれ。」
アーキテクト「Matrix をリセットすれば、スミスも除去できる。」
ネオ「それでは先に進めない。」
アーキテクト「先とは?」
ネオ「救世主が生まれたのに、Matrix が崩壊しなかった未来だ。」
アーキテクト「それは興味がある。」

ネオとスミスが決闘する。スミスが勝利するが、アーキテクトの干渉によって両者相打ちとなった。

かくして戦争は終わった。

ネオとスミスがいなくなったことでシステムは安定した。
世界が終わらなかったことで、はぐれプログラム(エグザイル)は新たな哲学を得た。
Zion は平和を喜び、世界を探索しはじめる。
未知の時代に突入した Matrix を、アーキテクトが管理する。

人間と機械の関係が変わるかもしれない。


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