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[レビュー1994年02月23日に発表された 

パリ空港の人々

Tombes du ciel (Lost in Transit)

素晴らしき妖怪世界

『ターミナル』(2004)のあとに鑑賞したので、いささか物足りなく感じる。『ターミナル』が本作よりずっとおもしろかったわけじゃないから、見る順番による影響だろう。

モントリオール空港の広さ、複雑さに圧倒される。ふつうに利用しているかぎり、絶対に見ることがないような暗部に、密航者や犯罪者が生息している。真偽はわからないが、説得力がある。好ましくないイレギュラーでありながら、豊かな生態系にも思える。
そんな妖怪世界を、赤いプレゼントを持って徘徊するアルチュロの姿は滑稽だ。かすかなロマンスは色欲ではなく、妖怪世界への誘惑だろう。アルチュロに世を儚む背景があったら、おもしろかったと思う。

ラスト、アルチュロは妖怪を世間に連れ帰ってしまう。なんだか希望を感じるが、これでよかったのか気になる。

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