女王蜂 (石坂浩二#4) Jooubachi | Queen Bee
1978年 日本映画 4ツ星 #金田一耕助狂気は1つじゃなかった
ヒロイン智子を演じる中井貴恵さんは、絶世の美女とは言いがたいが、スターの遺児という生い立ちが智子に重なる。Wikipedia の記事を読むと、現場で愛されていたことがわかる。そうしたメタ情報を知ると、作品を見る楽しみが増える。
さておき本編。舞台を月琴島から月琴の里に移し、高貴な血筋の当主を女性に変えているが、最初からそうであったかのように違和感がない。複雑な人間関係も、テンポよく紹介されている。序盤は多門連太郎に注意を向けさせる演出もうまい。
ストーリーのキモは、動機だ。金田一の調査によって手口は見えてくるが、動機がわからない。大道寺銀造(仲代達矢)の素性がわかっても、闇は晴れない。父を破滅させた東小路家への怨みから、親友を殺したのはいいとしても、その血をひく愛娘に近づく者まで排除したのはなぜか? 仲代達矢の顔が怖い。見てはいけない闇が浮かび上がってきたところで銃声。狂気は1つじゃなかった。
動機を隠したまま終わる推理モノがあっただろうか?
後日談もじっくり描かれるが、だれも動機について触れない。過去に光を当てず、埋めておくことにしたのだ。暗黙の了解が怖い。
ラストが秀逸。神尾秀子の編み物を金田一が受け継ぐ。そこへ等々力警部がやってきて、声をかける。劇中はさんざん馬鹿にしていたが、あえて謝意は告げず、「また会おう!」と言う。なんて清々しい。
難しい物語をよくまとめている。市川崑監督にあらためて敬意を表したい。
金田一耕助 | |
---|---|
石坂浩二 | |
渥美清 |
|
古谷一行 |
|
鹿賀丈史 |
|
豊川悦司 |
|
上川隆也 | |
稲垣吾郎 |
|