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[レビュー1983年04月01日に発表された 

装甲騎兵ボトムズ (全52話)

Armored Trooper Votoms [TVA 83.04.01-84.03.23]

ロボットは使い捨て、主人公は殺人マシーン

建物に入っていけるサイズ、二足歩行の限界を打ち破るローラーダッシュ、障害物の除去するアームパンチ、表情豊かなターレットレンズ、有視界戦闘を可能とするバイザー開閉、操縦を支援するミッションディスク、生命維持装置もモニターもないコックピット・・・。兵器としておかしな点はあるけど、リアルっぽさがたまらない。これ以上リアルだと「人型ロボット」という前提が崩れてしまうだろう。ATはリアルロボットの究極形であり、これを超えるのは難しそうだ。

またATを使いこなす主人公として、キリコは最高だった。そのへんのスクラップを集めて修理したり、被弾したら乗り捨てるなど、量産機(消耗品)であることを強く印象づけた。戦場での使い方もうまい。力比べで負けそうになるとアームパンチや、バイザーを開けて撃ったり、水中で回りこんでパイプを切ったりする。ロボットの性能や技量ではなく、知恵で生き残るのは感動的だった。しかも躊躇がない。人間を背後から警告なくミサイルランチャーで撃てる主人公なんて前代未聞だよ。

キリコは本当に珍しい主人公だった。暇さえあれば武器を手入れして、だれに対しても警戒を解かない。未来に希望がないから、人を殺すのもモノを壊すのもへいちゃら。そんなキリコがフィアナに執着し、仲間と打ち解けていく展開に魅了された。ワイズマンが出てからの超展開は、当時は呆気にとられたけど、いま見るとおもしろい。ワイズマンがいなければ物語が成立しない。フィアナと結婚して終わっていただろう。
キリコは戦闘の天才だが、有能な兵士じゃない。実現したい正義も理想もない。権威も宗教も信じていない。ただ、人並の幸せがほしいだけ。世界観が特殊すぎて見落とされがちだが、キリコはあんがい、ふつうの若者だった。その対比が本当に素晴らしい。

ATはすごいけど、キリコもすごい。ボトムズは本当におもしろかった。


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