くりいむレモン (実写映画) Cream Lemon

2004年 日本映画 4ツ星 恋愛

妹が女になって、それから...?

互いを異性と見るようになった兄と妹。日常のエロスを積みかねて、ついに爆発……なんて展開を期待していたが、2人とも言葉が少ない。愛情も、後ろめたさも感じず、なんとなく体を重ねている。まるで動物の檻を観察しているようだ。これは、現代の若者たちの閉塞感を表現しているのだろうか?

そして怒濤の後半戦──。急展開はよかったが、すぐ失速して、迷走しはじめる。それは逃避行する2人の行き詰まりを、端的にあらわしている。「家」という枠がなくなって、兄と妹は、男と女になってしまった。恋愛の果てに結ばれたカップルじゃないから、じつに脆い。ここから物語がはじまると思ったのに、いきなり終了。なんだ、こりゃ!

亜美の中身が変わったことに、兄さんは気づいてないか。あるいは、気づきたくないのか? そもそも兄さんは、亜美の中身を知っていたのか? じつは亜美は変わってないのかも?
なにやら、生々しい問題に直面しそうになったところで終了。その先を見たかったような、見ても仕方ないような。そう思うと、このラストはこれでいいのかもしれない。

ちなみに、『くりいむレモン 媚・妹・Baby』が発表されたのは1984年だから、20年目の実写化だ。旧作ファンもいい歳だから、ターゲットではないだろう。実際、中身はまったく別物だった。ならばオリジナルタイトルにすればよかったのに。やっぱり「くりいむレモン」と題した方が客を集められるんだろうか?
このへんの力学も、よくわからない。

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