北の零年 Year One in the North

2005年 日本映画 3ツ星 家族 時代劇

吉永小百合の映画だった

この時代に生きた人々は、世界がひっくり返るような変化を何度も味わったんだね。絶対と信じていたものが次々に崩れ去り、悪だと思っていたものにも理と情がある。ならば一時の理想に殉じるより、現実を受け入れ、がむしゃらに生き抜いた方がいい。そのたくましさに感動する。

とはいえ、映画としては首をひねる点も多い。なにより吉永小百合が汚れないので、悲壮感が伝わってこない。みんな落ちるところまで落ちているのに、吉永小百合だけ"なにか"に守れているような印象を受ける。制作者の「感動させよう」とする意図がミエミエなのだ。ラストで、吉永小百合が相手に尻を向けながら(観客を見ながら)しゃべるシーンは驚いた。そこまでやるのかと、別の意味で感動してしまった。

吉永小百合の映画は、どれも同じようなスタンスなのだろうか?
北の大地の厳しさより、吉永小百合の神秘性が印象に残る映画だった。

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