インソムニア Insomnia

2002年 外国映画 3ツ星 刑事・警察 狂気 記憶操作

あんがいシンプルだった

あらすじ

白夜のアラスカで17歳の少女が撲殺された。応援としてロス市警からウィル刑事と相棒ハップが派遣される。ウィルは犯人を山小屋におびき出すが、霧の中であやまってハッチを射殺してしまう。動揺したウィルは、ハッチを撃ったことを地元警察に伝えなかった。
ウィルは有能な刑事だが、過去の捜査について内部監査を受けていた。ハッチは、ウィルにとって不利な証言を求められていた。そのため、殺意があって撃ったと思われることを恐れ、事実を隠してしまったのだ。
不眠症になったウィルに、犯人が電話をかけてきた。犯人は、ウィルがハップを射殺する現場を見ており、その事実を伏せる代わりに、自分の少女殺しを見逃すよう求めてきた。
少女殺しの犯人は、著名な小説家ウォルターだった。ウォルターは少女の恋人ランディに罪を着せようと提案する。ウィルは反対するが、不利な証拠をにぎられ、翻弄されてしまう。
ねつ造された証拠でランディが逮捕され、事件は一件落着した。しかし地元警察のエリーは、ウィルがハッチを撃った証拠を見つけてしまう。さらなる証拠を求め、ウォルターの別荘を訪ねたエリーは、ウォルターに殺されそうになる。そこへ、良心の呵責に堪えかねたウィルがやってきて、銃撃戦になる。ウィルとウォルターと相打ちになる。
エリーはウィルの名誉のため、不利な証拠を捨てようとするが、止められる。

ストーリーは単純なのに、少女の撲殺死体、白夜、深い霧、不眠症と言った要素惑わされた。神秘のベールを剥いでしまえば、殺人犯は殺人犯だし、証拠をねつ造した刑事にハッピーエンドは許されなかった。それだけの話。神秘のベールによって魅力が増したと言うより、肩すかしを受けたような気がする。このへんの期待は、『マシニスト』(2004)で満たされる。

ウィルの過去はもっと早く明らかにしてほしかった。凶悪な殺人犯(と思える人間)を投獄するため、ウィルは証拠をねつ造した。今度はその秘密を守るため、無辜の人間を投獄しようとしている。物語の根幹をなす矛盾をわかっていたら、印象が変わっていただろう。
ウィルの告白を聞かされても、宿屋の女主人は興味を示さなかった。本土からアラスカに逃れた人間には、どうでもいいことなのだろう。あいまいな同意を求めて、ウィルは告白した。ずるい行為ではなかろうか。

それはそうと、野沢那智の声がすごかった。酔っぱらったように絡みつき、相手のいやがる部分をねちねち突く。すごい迫力だ。不眠症の描写は足りないが、画面を細かく切り替えるカメラワークはよかった。

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