まったく新しいモスラ
怪獣たちの中では異彩を放っていたモスラが、ジュブナイル映画としてよみがえった。都市を破壊したり、防衛軍と戦ったりしない。一貫して子どもの目線、子どもの価値観で描かれている。およそ怪獣映画らしくないが、環境破壊における人間のエゴイズムをあぶり出すなど、奥深いところもある。
子どもの率直な反応は、わざとらしい大人より説得力がある。冒頭で好き嫌いをするなと親に叱られたとき、「嫌いなものを食べたら丈夫になるの?」という問いかけはおもしろかった。
正直に言えば、小さなモスラ(フェアリー)や、エリアス姉妹とベルベラの容姿には、いささか戸惑った。慣れれば慣れる、と言いたいところだが、どうにもアニメチックで慣れなかった。だが、世界観とは合致しており、これはこれで悪くない。
モスラをこのように復活させるとは思いもしなかった。怪獣映画は単調になりやすいが、ときどき驚くほど進化する。