同じ月を見ている Under The Same Moon

2005年 日本映画 2ツ星 ドラマ 超能力

なんの深みもない

鉄矢は医者なのに、誰も救えていない。自分の弱さと向き合うのは立派だが、そこに成長はあっただろうか? ドンを犠牲にエミを手に入れて、幸福になれるんだろうか?

エミはかわいいだけで、心がない。鉄矢とドンの両方が好きだと言うが、ドンの放火を疑いもせず、鉄矢の呵責にも気づかない。天地がひっくり返るような鉄矢の告白にも動じず、以前と同じように2人を愛し、鉄矢と結ばれる。ちょっと理解しがたい精神構造だ。
蛇口の壊れた水道のように、誰でも愛せてしまうんだろうか?
それはそれで個性だが、そうにも見えない。

ドンはドンで、美しすぎる。鉄矢、エミと再会した直後に山小屋に突入したのは、死ぬためとしか思えない。それは誰かを助けるために命を投げ打つのとは、ニュアンスが異なる。
ひねくれた見方をすれば、ドンは死ぬことによって、鉄矢とエミに呪いをかけたのかもしれない。2人が結婚しても、決してドンを忘れることはできない。それこそ月を見るたび思い出してしまうだろう。これは、ドンの復讐だったのではないか?

同じ月を見ている──。
物語に秘められた切なさを、映画は表現できていない。

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