必殺! 三味線屋・勇次 Hissatsu! Shamisen-ya Yuuji

1999年 日本映画 3ツ星 #必殺 時代劇

「これは叫びだ。聞いてやっておくんなせぇ」

2016年に鑑賞。タイトルにその名があるが、勇次は主人公というより、一歩退いて支援する立場。つくづく主人公にならないキャラクターだが、生活に困った様子もなく、女性に手を焼くこともなく、ふらりと現れ、さらりと解決する男が、主人公になれるわけない。これはこれでいいと思う。

若手の仕事人・髪結いの弥助を阿部寛が演じているが、気を抜くと政(村上正明)の声に聞こえて困ってしまう。この弥助の成長を、勇次が見守る話と思っていたから、退場したときは腰が抜けた。
「仕事に私情を挟まない」というテーマがあって、勇次も怒りにぶれるが、最後はもちなおし、貫禄を見せつけた。弥助の道具を使って吊るすのは、無理はあるけどかっこいい。

仕事人を捕らえるための情報戦。ターゲットが仕事人を警戒していること。昼の仕掛け。まさかの力技など、意表を突く展開も多い。バイアグラならぬ回春丸は興ざめだし、演出不足も目立つが、なかなか新鮮な必殺だった。

それから本作もう1つの見どころは、藤田まことが別の仕事人役で出ていることだろう。せんとりつを彷彿させる2人の娘に金をせびられるところが楽しい。しかもこの子たちは父の仕事を知っているらしく、
「久しぶりやさかい、スーッとしたわ」
と返すラストは痛快だった。
しかし勇次ファンの私としては、藤田まことがいない方が勇次の立ち位置が映えたと思うんだが、まぁ、難しいところか。

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