大鉄人17(ワンセブン) (全35話) Giant Iron Man One-Seven
1977年 特撮 4ツ星 ロボット:自律型 主人公は子ども 電脳 @石ノ森章太郎生まれて初めて好きになったロボット
あらすじ
平和利用のため開発された超高性能コンピュータ「ブレイン」は、ハスラー教授の操作で悪の自我に目覚めた。しかしブレインはハスラーの命令も拒否し、ハスラーを部下にする。ブレインは永遠の平和を実現するため、人類を絶滅させると決定した。
ブレインは据え置き型だったため、行動代行者として「大鉄人ワンセブン」を創造した。ワンセブンはブレインと同じ能力をもちながら逆の結論(人類の肯定)に達したため、ブレインによって封印された。
南三郎(13歳)によって目覚めたワンセブンは、三郎少年を唯一の命令者として、人類の守護者となった。
ブレインは巨大戦闘ロボットで人類社会を攻撃するが、ワンセブンによって阻止される。
ブレインとワンセブンは互いの手の内を知り尽くしていたが、ブレインは自分で自分を進化させ、設計者でも破壊できなくなった。いっぽうワンセブンも人間との関わりで変化が生じ、ブレインに予想できなくなる(人間を体内に入れる)。ブレインは、ワンセブンの弟にあたる18(ワンエイト)を送り込むが、これまた裏切ってしまう。ワンエイトは、ワンセブンを守って破壊された。
ブレインは、ロボットを完全支配する「ブレインエリア」にワンセブンをおびき寄せる。ワンセブンは自我を失うが、三郎を秘密のコックピットに招き、操縦してもらった。
ブレインを消滅させるには同等の力をぶつけるしかない。ブレインは三郎を強制脱出させ、特攻する(三郎の命令拒否)。
ワンセブンはブレインともども消滅した。
そのSF的構図にしびれまくった。とはいえ、放送当時は6歳だったので、記憶はかなり曖昧。ストーリーはたぶん絵本で読んだと思う。そうした背景が、巨大で異質なワンセブンを雄々しく見せていた。意思表示は目をピコピコ光らせるだけで、態度もぶっきらぼう。だけど奇妙な優しさを、私たちはワンセブンに感じていた。
30歳を過ぎてから再放送を見たんだけど、その安っぽさに涙した。ワンセブンはしゃべって世話好きになるし、レッドマフラー隊はズッコケてばかり。私が愛したワンセブンはこんなものだったのか?
もはや実物より、脳内イメージの方がずっとかっこいいワンセブン。コンセプトは秀逸なので、いまの技術でリメイクしてほしい。
2021年、知人に番組を紹介。そのとき作った資料を添付しておく。
1977年の世情
- 『日本万国博覧会/大阪万博』(1970)で科学への興味が高まる。
- 特撮『仮面ライダー』(1971)の大ヒットで等身大ヒーローブームが到来。
- アニメ『マジンガーZ』(1972)で巨大ロボットが大ブームに。
- 特撮『スーパーロボット レッドバロン』(1973)も好評を博した。
- 特撮『ウルトラマンレオ』(1974)で第2期ウルトラシリーズが休止。
- 映画『メカゴジラの逆襲』(1975)でゴジラシリーズが休止。
- 日本人の興味は怪獣から怪獣に立ち向かうものに、また超自然より科学による説明を好むようになった。等身大ヒーローが流行しているが、巨大ヒーローの命脈も途絶えていない。
概要
- 東映は『ジャイアントロボ』(1967)から10年途絶えていた巨大ロボットものを復活させる企画を立ち上げた。石ノ森章太郎が原作者となり、設定とラフを提供。東映とメーカー(ポピー)の共同してデザインを洗練させた。こうした協業は初めての試みだった。
- ロボットは、横山光輝『鉄人28号』から1引いて「17」と命名された。
- 従来のロボットと異なりワンセブンには自我があった。ただし発声機能はないため、脳波ヘルメットによって意思疎通した。
- ハイティーン向けに作られたが、視聴率が低迷。コミカル要素を加え、子ども向けに路線変更。
石ノ森原作の特徴
- 正義は悪から生まれる。
- 失うことからはじまるが、復讐を是としない。
- ロボットは自我をもつ仲間と位置づけられる。
- 空を飛ぶスーパーカーが大好き。
- ヒーローは去る。
影響
- 巨大ロボットが売れるとわかった。『東映スパイダーマン』(1978)を経て、スーパー戦隊シリーズの定番要素に。
- メーカーが番組企画に関与するようになり、オモチャの企画・開発・販売手法が変わった。
- 変形機構は『機動戦士Ζガンダム』(1985)のサイコガンダムに流用された。
- 『仮面ライダーフォーゼTHE MOVIE みんなで宇宙キターッ!』(2012)で衛星兵器XVII としてゲスト出演した。
ヒーロー(メカ)の最後まとめ
年 | 番組名 | 末期 | コメント |
---|---|---|---|
1967 | ジャイアントロボ | 死 | ギロチン帝王を抱えて宇宙へ。 |
1972 | 快傑ライオン丸 | 死 | 大魔王ゴースの体内に入って、心臓を突き刺して自爆。 |
1972 | サンダーマスク | 死 | 相打ちして消滅。 |
1972 | 人造人間キカイダー | 半死 | 自我に目覚め、苦悩しながら去る。 |
1972 | 海のトリトン | 不明 | 主人公は敵部族を皆殺しにする。正義を失い、去る。 |
1973 | 鉄人タイガーセブン | 死 | 人工心臓がもうすぐ停まる。侘びて、みんなの前から去る。 |
1973 | ファイヤーマン | 死 | 物体Xを宇宙に運んで相打ち。 |
1973 | 新造人間キャシャーン | 半死 | ブライキング・ボスを倒すが、人間に戻ることはできなかった。 |
1974 | スーパーロボット マッハバロン | (-) | 打ち切りのため。 |
1975 | アクマイザー3 | 死 | 全員特攻。3人とも封印される。 |
1976 | 宇宙鉄人キョーダイン | 死 | 火の玉になって特攻。ガブリンと相打ち。 |
1977 | 大鉄人17 | 死 | 命令を拒否し、ブレインに特攻。 |
1977 | 小さなスーパーマン ガンバロン | 不明 | 突然の打ち切り。最終回もなし。 |
1977 | 無敵超人ザンボット3 | 死 | 特攻。主人公のみザンボエースで帰還。 |
1978 | 無敵鋼人ダイターン3 | 死 | 主人公ともども生死不明。 |
1979 | 機動戦士ガンダム | 死 | ジオングによって大破。コアファイターは投棄。 |
1980 | 伝説巨神イデオン | 死 | 全滅。 |
1981 | 太陽の牙ダグラム | 死 | 博物館に展示されるところを主人公によって爆破。 |
1982 | 戦闘メカザブングル | 生存 | ハッピーエンド。 |
1983 | 聖戦士ダンバイン | 死 | 太平洋上に墜落して爆散。敵も味方も全滅。 |
1984 | 重戦機エルガイム | 半死 | 主人公は世捨て人に。 |
1984 | 機甲界ガリアン | 生存 | 主人公は敵に圧倒され、生かされる。 |
1985 | 装甲騎兵ボトムズ | 半死 | 主人公は目覚める見込みのない冷凍睡眠。 |
1985 | 蒼き流星SPTレイズナー | 不明 | 打ち切り。 |
1987 | 超人機メタルダー | 半死 | 人間に戻れなくなり、いずこかへ去る。 |