時をかける少女 (中本奈奈主演) The Little Girl Who Conquered Time

1997年 日本映画 3ツ星 タイムトラベル 学校 恋愛

長年のつかえが取れた

2012年、ニコ生上映会で鑑賞する。原田知世の『時をかける少女』(1983)から14年後に、角川春樹がこんな映画を撮っていたとは知らなかった。最後まで見て、制作意図がわかった。

カメラワークはやや単調。互いに真正面から向き合う構図が目立つ。しかし駄目ではない。監督がオリジナルを尊重していることがわかる。中本奈奈は、原田知世のような透明感こそないが、厳しい顔立ちに少女らしい仕草がアンバランスで、いい感じ。深町の美しさ、吾朗の粗暴さの対比は興味深いが、和子が迷いなく深町になびいてしまうのは残念な気がする。吾朗くんにもいいところあると思うよ。

終盤──深町の正体が露見してからはテンポが悪くなる。処理すべきイベントが見え見えなので、もどかしい。しかしラストで報われる。きちっとハッピーエンドを描くため──オトシマエをつけるため、本作が制作されたのだろう。もちろん、結ばれないところがいいという意見もあるだろうが、私としては長年のつかえが取れたようだった。

最後の最後に色がつくかと思ったが、ちがった。モノクロは和子の心象や、15年前の古さを演出するためではなかった。ではなんのため? ひょっとしたら、オリジナルと差別化したかっただけか? 原田知世をナレーションに起用するなど、オリジナルを意識していることはわかるが、ちょっと気にしすぎだと思う。

時をかける少女
時をかける少女

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