女子大生と老教授、謎の四日間 / 犯罪実録シリーズ ザ・スキャンダル The Scandal

1983年 日本映画 4ツ星 実話に基づく 法廷 犯罪

ほんとにあった怖い火遊び

あらすじ

老教授(三国連太郎)が教え子(三浦リカ)から訴えられた。暴行した責任をとって、大学を辞任して慰謝料1,000万円を支払えという。老教授は合意の上だったと拒否し、法廷で全面対決することになる。贈り物をしたことや食事をしたこと、関係をもったことは事実だが、老教授は好意と受け取り、教え子は脅迫があったと証言する。また老教授は不能のため強姦は不可能だったと言う。しかし物証がないため、弱者である教え子に有利な判決が下された。地位も名誉も失った老教授は控訴する。

テレビで見て猛烈に怖かった作品。当時私は12歳だったが、女性の怖さ、裁判の不誠実さに戦慄したのをおぼえている。このドラマが私の人格形成に暗い影を落としたことはまちがいない。そのくらい怖かった。

ふたりの証言がともに映像化されるため、同じ事象に異なる意味をもたせられることに驚く。仲良く食事をした事実は認めても、テーブルの下ではフォークを押し当てられていたなど、教え子の証言は見えないところ、物証がないところに集中する。これを「言いがかり」と一蹴できないのか。
また若くて美しい女性に言い寄られ、老教授がほだされていく過程があわれだ。誰だって好意には弱い。それのどこが悪い。不能だからこそ老醜が鼻につき、気まぐれに破滅させられたとすれば、地上に正義はない。この厄災はどうやって回避したらいいのか。
教え子もウソをついていたのではなく、あるときを境に記憶が書き換わってしまったのかもしれない。自分の都合のいいように記憶を無意識に改ざんする人はいる。つまりテレパシーをもっていても、この展開は予測できなかったわけだ。

のちに現実に起きた事件(春木教授事件)をモデルにしていたことを知る。現実の事件では、老教授を失脚させる陰謀だったという説もあるらしい。現実はドラマ以上に醜悪だった。

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