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[レビュー1980年04月26日に発表された 

地球へ...

TOWARD THE TERRA

日本SF史に残る傑作

世界観

遠い未来、銀河系全域に進出した人類はスーパーコンピュータによって完全統治されていた。人工的に交配された赤ん坊は、血縁のない親によって育てられ、14歳の誕生日(目覚めの日)になると成人検査を受け、記憶を消去して社会に送り出された。環境破壊や戦争を食い止めるためのシステムだった。また成人検査では、超能力をもった危険な新人類(ミュウ)を識別。除去されていた。

快活な少年ジョミー・マーキス・シンは、成人検査に落第。ミュウとして抹殺されそうになるが、ミュウたちの長ソルジャー・ブルーに救われる。ブルーの後継者になったジョミーは、仲間たちの悲願である地球への帰還を果たそうとする。

機械の申し子と称されるキース・アニアンは、執行機関「メンバーズ・エリート」の一員となり、出世街道を歩んでいた。システムの不条理に気づきながらも、これを守ると決意。しかしミュウを出生の段階から除去できないことに疑問を抱く。

人類との対決を望まないミュウ(ジョミー)と、システムに疑問を抱きながらもミュウ討伐を指揮する人類(キース)、そして戦争の趨勢を覆した新・新人類(トォニィ)。三者の構図が素晴らしい。数十年におよぶ旅路と結末。みな、いのちを燃やしていた。

映画に感動して、原作漫画を買った。原作を踏まえて映画を見返すと、いろいろ説明不足とわかる。しかしキャラクターの声や動き、音楽のイメージは強く、漫画をよりよく楽しめる。甲乙つけがたい。

フィシスのイメージが強い。彼女が歴史を変えたわけではないが、地球への思慕、自然への回帰を象徴している。フィシスがいなかったら、本作は味気ないものになっただろう。フィシスを配したセンスに敬服する。

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