[レビュー1969年10月19日に発表された 

江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間 Horror of a Deformed Man

狂気 @江戸川乱歩
更新日:2016年06月27日(月) 07:00 [Edit]

映画ファンなら見ておくべき!!!

放送禁止用語のオンパレード。めくるめくエログロの世界。まるで精神異常者が見る悪夢のようだ。作ろうと思って作れる映像じゃない。それでいてスジは通っている。登場人物の心情を察することもできる。最初から最後まで飽きさせない。これぞエンターテイメントだ!
こんなにおもしろいのに、テレビ未放映で、商品化もされなかった。それが海外で評価され、DVD化され、日本にもどってきた。なんとありがたいことだろう。ちなみにDVDはパッケージも特典も充実していた。制作者の愛情を感じる。なんだか嬉しくなってしまう。と同時に、この映画を異物として排除する日本に疑問を感じる。毒にも薬にもならない映画にどっぷり漬かることは、もっとも危険なことだと思う。

内容にも触れておこう。
人見広介/菰田源三郎(吉田輝雄)の揺るぎない真剣さがたまらなくおもしろい。真剣であればあるほど、狂気を感じる。逆に、菰田丈五郎(土方巽)の狂気は実現可能な範囲に制御されており、彼が正気であることを物語っている。終盤、唐突に明智小五郎が乱入してくるが、依頼者もなしに事件に首を突っ込む行為は正気とは思えない。誰が正気で、誰が狂っているか、自分なりに診断するのも一興だ。
もっとも強烈だったのはラスト。「お母さーん」で爆裂四散なんて、常人には思いつかない。最高だ。

おもしろかった。しびれてしまった。

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