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[レビュー2007年09月13日に発表された 

化猫 / モノノ怪 (10-12話)

Bakeneko - Mononoke

なぜ殺されたかではなく、なぜ無視されたのかを問う

題材はふたたび『化猫』だが、舞台は昭和初期の地下鉄へ。余談だが、私は地下鉄博物館で日本最初の地下鉄(銀座線1001号車)に乗っているので、今回は感情移入しやすい。

さて本編。無関係と思われていた乗客7名(市長、刑事、運転士、女給、未亡人、牛乳配達の少年、記者)が、1つの事件に関与していたことが明らかになっていく。他人事だと思って見なかった少年、聞かなかった未亡人、うそをついた女給、居眠りしていた運転士、まじめに調べなかった刑事、そして殺害を決めた市長、実行した記者……。その報いを受けるかのように彼らは痒みを訴え、互いに罵り合い、消されていく。舞台と人物を限定して、その空気を圧縮していく演出は素晴らしい。とりわけ善意の第三者と思われていたチヨまで追求されるのはショッキングだった。

3話目で節子の視点が描かれるが、2話で真相はほぼ判明していたので、新事実は少ない。ただ、節子が誰を「許さない」と思ったかは、もっと掘り下げてほしかった。節子はたぶん、死ぬ瞬間、多くのことを願ったはず。列車が急停止してくれる/すぐ搬送されて助かる/目撃証言が集まってデスクが逮捕される/市長の罪が暴かれて節子の功績が認められる......。そうした希望を、みんなが、少しずつ、無意識に打ち砕いてしまった。だから彼女の死を無視した人も列車に集められたのだ。

和風ホラーとして、よくできている。おもしろかった。

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