レビュー  2006年12月29日  に発表された 

ヴァレリーの誘惑(ミック・ギャリス) / マスターズ・オブ・ホラー (S2-21)
Valerie on the Stairs / Masters of Horror

3ツ星

「この壁の向こうはなんだ?」「異次元の入り口よ」

あらすじ(結末まで)

小説家志望のロブは、作家の卵たちが住むアパート「ハイバーガーハウス」に越してきた。建物は古く、住んでいるのは奇人ばかり。ロブが借りた部屋の前住人テリーも自殺していた。ロブは執筆に専念しようとするが、ノックや壁の向こうから聞こえる音に悩まされる。
ある夜、ロブは階段で金髪の美女ヴァレリーと出会う。ヴァレリーの言動はおかしく、存在感がない。幽霊を見ているのか? 住人はだれも知らないと言うが、ヴァレリーはたびたび姿を見せ、ロブは魅了されていく。
ロブは、アパートの住人であるブルース、ニーリー、パトリシアの3名が「階段のヴァレリー」という小説を共同執筆していたことを突き止める。空想から生まれた悪魔(オーサカイ)と美女(ヴァレリー)が、現実世界に出ようとしている。ロブの警告は無視され、3人の著者は惨殺された。ロブは壁の向こう側に突入し、悪魔と戦ってヴァレリーを救い出す。しかしヴァレリーはアパートの外に出ると消えてしまった。そしてロブも紙の束になってしまう。ロブは物語の登場人物だった。
(おわり)

『マスターズ・オブ・ホラー』第2期、邦題『13 thirteen』の8本目。通算21本目。原作はクライブ・バーガー。私は未読。
作家の空想が現実になる話は、よくあるようであまりない。『トワイライトQ #02 迷宮物件 FILE538』(1987)、『トーキング・ヘッド』(1992)、『RAMPO』(1994)、『妄想代理人』(2004)、『ALAN WAKE』(2010)あたりか。魅力的なプロットだけど、調理するのは難しい。そして本作も調理に失敗している。

ヴァレリーの誘惑が強すぎて、警戒したくなる。パトリシアとキスして引き裂くのも不可解だ。ヴァレリーは主人公が戦う「動機」なのだから、おかしな演出はすべきじゃない。
ロブの正体も中盤あたりでニーリーが言っちゃうから、驚きが減ってしまった。ヒーローなら、自分が架空の存在と知っても戦ってほしいが、そういう流れじゃなかった。ロブの恋人がニーリーに噛み付くのも意味不明。ロブが架空の存在なら、アパートの外から来たのは矛盾する。ロブが実在していたなら、悪魔が勝ったことになる。「ロブの小説は出版されなかった」という一文は、彼の敗北を意味するのか?

ニコ生上映会では、3人の死に方が「骨抜き」「ハートを奪われる」「首ったけ」というコメントが流れていたけど、そういう意図があったのかな? 3人はそれぞれ舞台、悪魔、美女を受け持っていたから、ふさわしい殺し方があるはず。とはいえ創造主を殺せば自由になれるという発想も理解しがたい。全体的に没入できなかった。


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