フランティック Frantic

1988年 外国映画 3ツ星 誘拐

非日常との遭遇

ハリソン・フォードは、人質をとられると強くなる男だね。特別な訓練は受けてないけど、たよるものがなくなると身体を張ったアクションで悪漢どもを撃退する。『ファイヤーウォール(2006)』、『エアフォース・ワン(1997)』、『デビル(1997)』、『パトリオット・ゲーム(1992)』などの流れをたどると、本作、『フランティック(1988)』に行き当たる。
ふいに妻がいなくなった不安感、地元警察はもちろん、大使館もアテにならない。わずかな手がかりをたよりに、事件を追いかけ、孤独な戦いを強いられる中年男性。ドラマとしておもしろいわけではないが、緊張感があって目が離せない。なるほど、これが原点だったのか。

首をかしげる部分もある。とりわけ犯罪組織の思惑がよくわからん。荷物を回収するのに、奥さんを誘拐する意味はなかっただろうに。下っ端が先走ってしまったのかな? 協力者ミシェルも、なにを考えているのやら。
しかし考えてみれば、平凡な中年男性が国際的な事件の全貌を把握できるはずもない。ラストで空港に向かう夫婦を見ていると、この数日がいかに異常だったかうかがい知れる。このギャップが、本作最大の見どころだったと思う。

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