ハンガー THE HUNGER

1983年 外国映画 3ツ星 モンスター:吸血鬼

舞台こそ嘆美だが、描かれた人間ドラマは生々しい

要するに吸血鬼(カトリーヌ・ドヌーブ)は従者(デビット・ボゥイ)を騙していたわけで、ボゥイは最初の男でも、最後の男でもなかった。それに気づいたときは時すでに遅く、せめて愛されながら去ることを望む。みるみる老いるボゥイが凄惨な魅力を放っていた。
てっきりボゥイが大活躍する映画と思っていたので、早期退場には驚かされたが、全体的にはこれでよかった。だらだら嘆美シーンを見せられても困るからね。

後半、新しい従者として女医(スーザン・サランドン)が選ばれるけど、どうにも雰囲気が合わない。その異質さを愛しているような描写がないので、前半との不連続さに困惑する。それじゃボゥイはなんだったんだ? 女性同士のからみも、人ならざるものの悲哀や恍惚がないので、ただの性欲解消でしかなかない。まぁ、これだけ地下にストレスを溜めれば、爆発しても仕方ない。遠回しなドヌーブの自殺と思えば、まぁ、納得できなくもない。

こーゆー物語は好きなんだけど、説明が少なすぎる。せっかくの映像美も、状況が把握できなければ意味を成さない。よけいなイメージシーンを省いて、30分くらいに短縮すれば、ぐっとおもしろくなったと思う。

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