自虐の詩 Happily Ever After / Jigyaku no Uta

2007年 日本映画 3ツ星 コメディ 日常を描く

よくできてるし、よくできすぎている

中盤あたりで、原作(4コマ漫画)を読んでいたことを気づく。あぁ、そうか、あれを実写映画化したのか。なるほど、幸江(中谷美紀)もイサオ(阿部寛)も、場の雰囲気もよく再現されている。お父さん(西田敏行)はイメージが違うけど、新解釈として受け入れられる。あざとさを感じる感動シーンの連続も原作どおり。原作への深い愛が感じられる。

幸江が転落したとき、「あぁ、不幸確定」と思ったけど、そうじゃなかった。幸も不幸もないというモノローグは、しんみり響く。あぁはなりたくないと思いつつ、あぁなりたいと思わせる、奇妙なカップルだった。

あと、幸江と熊本さんの友情に言及しておきたい。2人の友情は、任意に選択されたと言うより、どうしようもなくなって結ばれたものと言える。だが、その強さ、輝きは比類ない。成長して、大化けした熊本さんにも驚く。幸江や熊本さんを馬鹿にしていた生徒たちは、いまどこで、なにをしてるだろう? この底辺だった2人より幸せになれただろうか? 軽薄な生徒たちと仲良くしていたら、幸江は幸せになれただろうか?
本当に、幸も不幸もないのかもしれない。

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