レビュー  2002年11月02日  に発表された 

たそがれ清兵衛
The Twilight Samurai

4ツ星

なんとも形容しがたい感動がある

ていねいに描かれた下級武士の暮らし。この時代は日中でも屋内は暗いんだね。また川上から餓死者が流れてくるような困窮ぶりでは、生きていくことはとても大変だったと思う。
物質的に見れば、たそがれ清兵衛は恵まれなかった。懸命に働けども報われず、愛した人と暮らせたのはわずかな時間。しかし彼が不幸だったとは思えない。もちろん幸福だったとも言えない。精一杯に生きたという事実の前には、他者の評価など意味はないのかもしれない。

チャンバラは地味だけど、すごい緊張感があった。「見逃してくれ」と言いながら、相手が竹光とわかれば勝負に出る。そのおごりが、結果として死を招く。実戦で生死を分けるのは、技ではなく心の持ち方なのだと思った。

決闘に向かう前、戸口から鶏が見えたのが印象的。当人にとっては運命を決する時間でも、世界はいつもと変わらない。そこに無情さと、美しさを感じる。そして手を握り合うだけでも、十分に心が通じ合い、十分にエロティック。日本人の美学が詰まった映画だった。

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たそがれ清兵衛